ネットマークスは6月8日、6月28日に予定していた株主総会を延期、また2007年3月期の有価証券報告書を7月2日までに提出できないことを明らかにした。株主総会は7月31日に開催する予定とし、有価証券報告書は8月2日までに提出するとしている。有価証券報告書は、提出する期限が法律で定められており、同社の場合7月2日が期限となっていた。
同社が今回、このような措置を取ったのは、決算で「重大な疑義」があったためだ。ここで言う重大な疑義とは、同社社員が不適切な取引を行ったことによって、2004年3月期から2006年3月期の3期と、2007年3月期、計4期分の決算を修正する必要が出てきたことを指している。なお、同社では、不適切な取引がどういうものであるかは明確にしていない。
現段階で判明している売上高の減額修正額は以下の通り。( )内は、過去に発表された連結決算での売上高。
- 2004年3月期:5億8500万円(412億400万円)
- 2005年3月期:14億5300万円(578億3600万円)
- 2006年3月期:34億1000万円(592億5100万円)
また、売上総利益修正見込額は2004年3月期から2007年3月期までの合計で、最大10億1300万円の減額修正と、これに伴った各利益の修正が見込まれている。
ただ、ここで挙げた数字は、監査法人との協議を経ていないものだ。今後、監査法人と協議、監査結果次第では変更が生じる可能性があるのである。ネットマークスでは「監査法人には全面的に協力する」としている。
不適切な取引に端を発したネットマークスの決算がどのように修正されるかは現時点で、どのような決着を見るかは不明だが、この問題は同社にとどまらない。
というのは、SI業界大手の日本ユニシスはネットマークスを6月1日に、株式公開買い付け(TOB)で子会社にしたばかりだからだ。日本ユニシスは、ネットマークスへのTOBで93億800万円という少なくない金額をかけているのである。
100億円弱かけて筆頭株主になった日本ユニシスでは、ネットマークスの決算修正について、「驚きで想定外のことであり、誠に遺憾」と、比較的冷静を装っている。また、株主総会延期と有価証券報告書の提出遅延について「ネットマークスは上場企業として、適切な対応を取っておくものだと考えている」とコメントしている。