世界最大のチップメーカーIntelは米国時間7月15日、堅調な2008年第2四半期決算を発表した。同社最高経営責任者(CEO)のPaul Otellini氏にとって、この日のニュースは大部分が喜ばしいものだったが、決算発表の電話会見では、「Atom」プロセッサに関する問題と同社のフラッシュメモリ事業における弱さが、またしても話題にのぼった。
15日の電話会見におけるOtellini氏の最も興味深い発言の1つは、Atomプロセッサに関するものだった。「(Atom)は、性能面では当社の『Centrino』(プロセッサ)の3分の1にも満たない。皆さんは、われわれのほとんどが使わないようなものを問題にしているのだ」と同氏は述べた。
Otellini氏は続けて、Atomは「主にウェブアクセスのために設計されたもの」で、写真編集といった用途向けには設計されていない、といういつものコメントを繰り返すことで、前段の発言の過激さをいくぶんトーンダウンさせた。だが、同氏のコメントはAtomがIntelに突きつける課題を浮き彫りにしている。つまり、Atomは性能面でそれほど優れていないうえに、これまで長きにわたって(Atomより高性能な)「Celeron」プロセッサが築いてきた市場を食いものにする恐れがあるということだ。
15日の電話会見では、2人のアナリストからこの共食い問題について質問が出され、Otellini氏は次のように回答した。「われわれは(Atomを)Celeronに置き換わるものとは見ていない。Atomベースで設計されているNetbook製品を見ると、価格も安く、機能もシンプルで、初めてパソコンを買う顧客、あるいは各世帯で2、3、4台目のマシンを購入する顧客を狙った、画面の小さなノートPCばかりだ。共食い現象などはまったく起きていないと認識している」
Atomをめぐっては別の課題もある。IntelはまだAtom市場を把握できてないのだ。Atomはまだ市場開拓中の製品で、市場がどの程度の大きさになるのか、どのような展開を見せるのかはまだはっきりしない。Otellini氏は、Atomは新しい市場セグメントを創出しているとの見解を明らかにしている。しかし、Atomの主戦場は非常に低コストの市場セグメントで、これは将来、Intelの利益の足を引っ張る恐れがある。少なくとも決算発表の電話会見では、アナリストから投げかけられた質問の多くがこの点に触れていた。