富士通は3月1日、独立行政法人の日本原子力研究開発機構(原子力機構)と共同でスーパーコンピュータシステムを構築、稼働を開始したことを発表した。LINPACKベンチマークで186.1テラフロップス(TFLOPS)の実効性能を達成した。これは2009年11月に発表されたTOP500リストで日本1位、世界19位に相当する。
新システムは、大規模並列演算部、次世代コード開発部、共有メモリ型演算サーバという3つの異なる用途の計算サーバシステムからなる複合システム。中核となる大規模並列演算部は、富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX900」が2134ノード(CPU数は4268、コア数は1万7072)をインターコネクト技術「InfiniBand QDR」で接続することで高性能な並列環境を実現しているという。PRIMERGY BX900は、1シャーシに18枚のブレードサーバを挿し、毎秒6.4Tbpsのスループットとしている。
次世代コード開発部は高性能コンピューティング(HPC)サーバ「FX1」が300ノード。共有メモリ型演算サーバにUNIXサーバ「SPARC Enterprise M9000」1ノード、ディスクアレイ「ETERNUS DX80」36台を採用している。3つの計算サーバシステムにはすべて富士通のHPCミドルウェア「Parallenavi」シリーズを採用して、共通のプログラム開発実行環境と一元的な運用管理での利便性の高い利用環境を実現しているという。
大規模並列演算部のPRIMERGY BX900のLINPACKベンチマーク性能測定で186.1TFLOPSを達成している。富士通は、PRIMERGY BX900とParallenavi、プログラムチューニングなどのシステム構築技術が結びつくことで実現したとしている。
ブレードサーバ間の高速データ転送を実現するため、ブレードサーバにInfiniBand QDRカードを2枚搭載し、片方向最大8Gbpsのデータ転送が可能という。Parallenaviの科学技術計算ライブラリは、富士通研究所の技術を活用した世界最高レベルの性能を有して、今回のLINPACK測定結果に大きく貢献したと説明している。
新システムは、原子力機構で核融合シミュレーションをはじめとする原子力分野のさまざまな研究開発で活用、安全な原子力エネルギーの実現に役立てられる予定という。