富士通は4月30日、2009年3月期連結決算を発表した。売上高は前年比0.3%減の4兆6795億円。営業利益は同37.2%増の943億円。経常利益は同372.7%増の711億円。当期純利益は、1123億円の赤字から930億円の黒字となった。
LSIを含むデバイスソリューション事業で受注が持ち直し、第3四半期と第4四半期で黒字を達成した。しかし、第4四半期で国内のITサービスが減収となり、全体では計画を下回った。また、欧州市場の回復が鈍く、前年度水準に届かなかったことも減収の要因だという。
結果は減収増益で、富士通 執行役員専務(CFO)の加藤和彦氏は「年間を通じて厳しさが続いた結果」と述べている。しかし、ハードディスク事業の売却、欧州でのリストラなどの構造改革で成果を上げるとともに、ファナックなどの株式を売却することで896億円の特別利益をあげた。
ITサービス:欧州の立ち直りが鈍く、英国政府との商談は厳しい結果に
富士通では事業セグメントを大きく3つに分けている。法人向けIT製品とサービスを担うテクノロジーソリューションは、「ソリューション/SI」と「インフラサービス」を含む「サービス」と、「システムプロダクト」と「ネットワークプロダクト」を含む「システムプラットフォーム」で構成される。
テクノロジーソリューションは、売上高が前年比1.4%増の3兆1210億円。ただし、為替と事業再編の影響を除く実質増減率は6%の減となっている。国内の売上は7.3%減の1兆9716億円で、海外が21.0%増の1兆1494億円となった。営業利益は19.2%減の1524億円で、営業利益率は4.9%と1.2%悪化。加藤氏は「国内外で企業のIT投資抑制が続いた結果」と説明している。
サービスの売上は3.4%増の2兆5104億円。営業利益は19.7%減の1311億円となった。国内外の商談が延伸したことに加え、一部プロジェクトで将来に見込まれる損失を手当てしたことが要因。サービスを構成するソリューションSIでは、国内の公共、医療、アジア太平洋市場が堅調だった。一方、国内の流通と金融、北米市場で厳しさが出たとする。インフラサービスでは、国内のアウトソーシングサービスが堅調だったが、欧州市場で商談の長期化、延伸が発生。特に英国政府との商談では、歳出削減の影響を受け、厳しい結果で終わったという。
システムプラットフォームは売上が6106億で6%の減収、営業利益は40%減の213億円となった。コストダウンとコスト対策が計画以上に進んだことに加え、採算を重視した商談に集中したことにより、システムプロダクトとネットワークプロダクトがともに計画を上回って改善した。ネットワークプロダクトは、北米の光伝送システムが第2四半期以降回復してきており、年間を通じて堅調という結果となった。しかし、国内でNGNの大都市展開が一巡したことに加え、携帯基地局がLTEまでの端境期に入ったこともあり、全体では減収となった。