富士キメラ、「運用サービス市場の成長率は保守サービス市場を上回る」と予測

富永恭子(ロビンソン)

2010-02-15 20:35

 富士キメラ総研は2月15日、「2010 IT/ネットワークマネジメントサービス市場調査総覧」の中で、法人向け情報システムの保守サービスおよび運用サービスの国内市場の調査結果を発表した。企業経営の根幹との意識が高い情報システムの中でもシステム安定稼働は優先課題として重視されることから、2012年度の運用サービス市場は2009年度に比べ10.7%増と予測、今後保守サービス市場を上回る成長率が予測されるとしている。

 同調査では、景気悪化で企業のIT投資に抑制や先送りが見られる中、需要が比較的底堅い情報システムのうち、「プラットフォーム」「ネットワーク」「アプリケーション」の各分野の保守サービスと、「サービスカテゴリ別」「提供区分別」に分類した運用サービスについて、今後の市場動向を予測している。また、主要参入企業のビジネスモデル分析も加え、ITおよびネットワークマネジメントサービス市場の全体像をとらえたとしている。

 レポードでは、保守サービス額と運用サービス額を合計したITおよびネットワークマネジメントサービス市場全体について、景気悪化の影響を受け2009年度に前年度比3.4%減が見込まれるとしている。また、2010年度には回復に向かい、2011年度には直近で最も市場規模の大きかった2008年度の3兆3063億円を上回ると予測している。

 保守サービス市場においては、システムのオープン化によって従来高い比率を占めていたメインフレームが減少し、その保守サービス額も連動して減少する見通しだという。OA機器やサーバといったメインフレーム以外のプラットフォーム系機器に関しても製品単価が下落しており、保守サービス額に影響を与えるという。一方、セキュリティ意識の高まりに伴って稼働台数が増えているセキュリティ機器や、保守サービスベンダーが注力しているソフトウェアの各保守サービスでは好調な推移を予測している。

 運用サービス市場では、企業経営において情報システムが重要な位置を占めている中、その安定稼働が優先課題として重視されているという。そのため、ユーザー企業の安定的な需要が見込まれ、今後保守サービス市場を上回る成長率が予測されるとしている。また、ユーザー企業においてはコスト見直しという点で、高コストであるオンサイト(常駐)からオフサイト(リモート、データセンター)へサービス形態の移行が進んでいるという。

 また、富士キメラ総研は注目市場として、ユーザー企業のアプリケーション環境を最適化することで効率化や生産性向上などに結びつけ運用コストの削減を図る「AMS(Application Management Service)運用サービス」を挙げている。その理由として同社では、アプリケーション運用において標準化された運用体系の確立が重要視され、基幹系システムに強みを有するシステムインテグレーターを中心にメニュー化が進み、市場に浸透してきていること、また、アプリケーション資産が複雑化、膨大化する中で、運用コストや開発コスト削減に向け、アプリケーション資産を洗い出す評価や可視化系サービスの需要が高まっていること、さらには、人的および技術的継承の観点やユーザー企業自身での対応ではコスト負担が大きいケースが見られることとしており、同サービスが引き続き好調に推移するだろうとしている。

 レポートは、「セキュリティ機器保守サービス」市場にも注目している。企業ネットワークの進展に伴うセキュリティリスク対応を目的としてセキュリティ機器とその保守サービスの普及が進み、当初は外部脅威対策を中心としたが、情報漏洩問題など内部脅威対策への取り組みも広がっているという。そのため、セキュリティ対策の多様化や複雑化が進み、機器、サービス共に市場が拡大傾向にあるとしている。

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