次世代インターネットの構築で主役の座を狙う中国が、国内20都市にある25大学を結んだIPv6ベースのネットワークを立ち上げた。
中国教育科学研究ネットワーク情報センター(CERNIC)は12月25日、CERNET2と呼ばれるネットワークを立ち上げたと発表した。単一のIPv6ネットワークとしてはこれまでで最大級と思われるCERNET2により、中国は次世代インターネットの構築競争で世界の先頭に立てると、CERNICでは主張している。
IPv6では、利用可能なIPアドレスの数が指数関数的に増大する。特にアジア地域でのウェブ利用の急増など、インターネット利用者の増加から、数年以内に既存の利用可能なIPアドレスの数が枯渇するのではないかという懸念が持ち上がっているが、IPv6はこの問題に対応するために開発・展開されたもの。
現在の標準であるIPv4では、データパケットの運搬にわずか32ビットのアドレス空間しか与えられていない。これを128ビットまで拡張することで、IPv6ではさらに何十億ものIPアドレスが利用でき、より多くの機器が同時にインターネットへ接続できるようになる。
多くの通信事業者やネットワーク機器メーカーはIPv6を支持している。しかし、ネットワーク機器やアプリケーション、PC、サーバなどのIPv6対応に対する投資に慎重な企業も多い。
また、1つの組織内にある最大257ノードを単一のIPアドレスにまとめるような技術(NATと呼ぶ)により、IPv4の制限を取り払うことが可能になるという意見もある。
中国の国家発展改革委員会(NDRC)では、6つの次世代インターネット・ネットワークのサポートに14億元(約1億6900万ドル)の投資を決めていると、中国の有力日刊紙である人民日報が伝えている。この予算のうちの半分は大学ネットワークの接続プロジェクトに用いられ、残りは5つの通信事業者に割り当てられる見込みである。
アジアでIPv6に大きな関心を寄せるのは中国だけではない。日本ではすでに、すべてのサービスプロバイダーが使用している商用ネットワークでIPv6のインプリメンテーションを行っている。韓国は、IPv6を使ったアプリケーションやサービスの開発を欧州連合(EU)と進めている。
一部の専門家は、もし中国がIPv6の取り組みに成功した場合、アジアでビジネスを展開したいと考える欧米諸国は、自らのネットワークを(IPv6へと)アップグレードする必要が出てくると予測している。