NTT西日本(森下俊三社長)は、野生のサルなどの野生鳥獣による農作物被 害の防止を支援する、無線ICタグを利用した「鳥獣害(猿害)対策支援システ ム」を6月28日から提供開始する。
農作物に被害を及ぼすサルなどに無線ICタグを装着し、その生態・行動を把 握すると同時に、野生鳥獣の田畑などへの接近を住民などに通知することで、 住民などによる「追い払い」活動をサポートするシステム。ICチップとアンテ ナで構成、アンテナを装備した読み取り/書き込み装置と無線で通信すること で、IDや時間・場所などのデータの読み取り、書き込みを行う。
必要電波法に準拠した429MHz帯の電波を利用するため、無線免許の申請や無 線従事者を配置する必要がない。RFID(Radio Frequency dentification)タ グからRFIDタグへ情報を次々と伝達する「マルチホップ機能」を搭載してお り、監視エリア内にRFIDタグを複数設置することで、通信設備の設置が難しい 山間部などでもシステムの構築が可能。
今回は、サルによる農作物被害に特定して提供する。サルへの対策として は、継続的な「追い払い」活動を行うことで、田畑が人間の生活圏であること を学習させることが効果があるといわれている。
20−30頭の群れで行動するサルの1頭に無線ICタグを装着し、そのサルが監 視エリア内に侵入すると、タグの情報を監視装置のレシーバーが受信、自動的 にメールなどで通知して「追い払い」活動を支援する。住民は、常時監視など の手間をかけずに、必要に応じて田畑に行き、サルの群れを追い払うことがで きる。
ICタグの受信データを蓄積することで、該当地域における野生鳥獣の生態調 査などに活用できるほか、その群れの行動パターンを把握・分析することで、 事前に対策を講じることもできる。
価格は、監視装置一式、RFIDタグ1個、サーバー、アプリケーションソフト などを含め、一式210万円から。今後、サル以外の野生鳥獣にも対応できるよ う、機能向上を図る。