Intelのリモートウェイクアップチップのおかげで、家庭のPCがとうとう電話の役割を果たすようになるかもしれない。
Skypeに代表されるような、従来のPCベースのインターネット電話サービスは、PCとネットを利用して無料あるいは安く通話できるという特長をもつ一方で、PCが起動していないと着信を受けられないという欠点があった。しかし、Intelが米国時間8月14日に発表した新しいチップセットにより、PCがスリープ状態から目覚めて、電話を受けたり、コンテンツのダウンロードを許可したりすることが可能になる。
カリフォルニア州のVoIP新興企業JaJahはIntelと組み、自社サービスのユーザーがスリープモードのPCで電話の着信を受けられるように対応した。
JaJahの最高経営責任者(CEO)Trevor Healy氏は「Intelの技術のおかげで、PCが家庭用PBX(構内交換機)になる」と述べる。「JaJahのクライアントソフトとUSB電話機があれば、いつでも電話着信を受けることができる」(Healy氏)
Intelとの提携により、JaJahの技術は今後、一部のPCに販売時からあらかじめ組み込まれることになる。ユーザーはネット電話を利用するためにわざわざソフトウェアをダウンロードする必要がなくなるため、JaJahは、ソフトウェアクライアントをダウンロードしなければならないSkypeなどのIPテレフォニーサービスと差をつけることができるようになる。JaJahは通常の電話料金よりも格安の値段で、自分の電話と、世界中の固定電話や携帯電話をインターネット経由で接続するサービス。
Intelがこのたびの「Remote Wake」技術で、最初の提携先に選んだテレコミュニケーションパートナーはJaJahだった。加入者数1000万人のJaJahは、PCベースのVoIPサービスを提供し、利用者数3億人を誇るSkypeに比べると、とるに足りない存在だが、2007年5月に、Intelの投資部門から2000万ドルを調達している。
(JaJahがパートナーになったのは、上述の経緯があるためで)Intelによると、Remote Wake技術は他のVoIPサービスにも対応可能だという。
Intelのコンシューマープロダクトマーケティング担当ディレクターJoe Van De Water氏は「Intel Capitalは投資先のJaJahとの関係を、(このたびの提携により)拡大した」と述べる一方で次のように付け加えた。「ただし、Remote Wake技術はオープンな技術でソフトウェア開発キット(SDK)も用意している。SkypeなどのVoIPプロバイダにも利用してもらえる」
Skypeにコメントを求めたが回答は得られなかった。
Remote Wake技術の利用例として、PCを電話機代わりに容易に利用できるようにすることのほかには、オンラインビデオサービスの効率的な提供の支援が挙げられる。Orb NetworksとCyberlinkの2社はIntelと共同で自社サービスへの対応を進めており、楽曲や写真、ビデオなどのコンテンツがオフピークの時間帯にダウンロードできるようにしようとしている。またIntelは、リモートバックアップやセキュリティアップデートを提供するPCサービスにも働きかけ、ネットワークが混雑していない時間に同技術を利用してもらうようにする意向だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ