Linuxソースコードの新たな「家」を探すL・トーバルズ

Stephen Shankland(CNET News.com)

2005-04-11 11:44

 Linuxの生みの親であるLinus Torvaldsが、同プロジェクトのソースコードの置き場所を新たに探し始めた。これは、Linuxプロジェクトで現在利用しているソースコード管理システム「BitKeeper(BK)」をめぐって開発者の間で意見の衝突が起こったためだ。

 Torvaldsは、米国時間6日にLinuxカーネル関連のメーリングリストに投稿したメッセージのなかで、自動処理能力で劣る電子メールベースのシステムを新たに採用した場合、Linuxの開発に遅れが出る可能性があるが、それでも新しい方向へ動き出すのは早ければ早いほどよいと述べた。

 「私はBKの使用を中止することにしたが、これは主として他の選択肢を検討する必要があるからだ」とTorvaldsはこのメッセージに記している。「これまで通りの状態を維持するのではなく、あえて困難に挑み、BKを使用しないとどうなるのかを見てみるつもりだ」(Torvalds)

 Robert Frances GroupアナリストのStacey Quandtは、この変更によって大きな問題が生じるとは考えていない。「(この変更によって)Linuxの開発に遅れが出るとは思わない。現在でも、おびただしい数の変更が電子メール経由で効率的に行われているからだ」(Quandt)

 しかし少なくとも、多くのLinux開発者はBKを利用して修正したソースコードをやりとりすることに慣れているため、彼らの間では大きな混乱が起こることになるだろう。

 互いに接続し合った各BKレポジトリのなかには、現在作業中のLinuxカーネルのバージョンが1万種類以上も存在していると、BitMover創業者のLarry McVoyは述べている。同社の販売するBKはプロプライエタリソフト。ただし、この状況も変わることになりそうだ。「Linuxカーネルの主なソースコード管理システムは、3年以内に別の何らかのシステムに変わるだろう。ただし、具体的にどれがなるかはまだわからない」(McVoy)

 Linux開発の取り組みは以前と比べて大規模なものになっており、McVoyの見積もりによると、現在1500人以上のプログラマがLinuxコンポーネントの開発に参加しているというが、こうした規模の拡大に合わせて、開発の進め方も徐々に変わってきている。Torvaldsは2004年から、参加者に対して自分の書いたコードに署名を入れることを求めており、また2002年にはより系統だったバグ追跡システムが導入された。Torvaldsはまた、電子メールを使ったパッチ配布のフォーマットも標準化した。

 Torvaldsは2002年にBKを使い始めた。同氏は、数多くのプログラマが書いたコードを同期するのに中心となるレポジトリを必要としないBKの機能を高く評価している。「BKのおかげで、私の生産性は2倍以上あがった」と、Torvaldsは2004年3月に出されたBK関連のニュースリリースのなかで述べていた。

 Torvaldsは、Concurrent Version Systemなどのコードレポジトリでソースコードを管理するやり方を好ましく思っていないが、ただしそうしたやり方に切り替える可能性を完全に排除したわけではないと述べている。同氏によると、BKに代わるLinux管理システムとして最も有力なのは、「Monotone」と呼ばれるプロジェクトだという。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. クラウドコンピューティング

    生成 AI リスクにも対応、調査から考察する Web ブラウザを主体としたゼロトラストセキュリティ

  5. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]