OSDL、Linuxプログラマーとの関係修復を狙い諮問委員会を設置

文:Stephen Shankland(CNET News.com)
翻訳校正:河部恭紀(編集部)

2006-03-23 13:17

 Linuxの改良に取り組む組織であるOpen Source Development Labs(OSDL)は、技術諮問委員会を設置し、業界によって設立された同団体への不満を何度か表面化させたプログラマーらとの関係改善を図ろうとしている。

 OSDLには、Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏や、その片腕的存在であるAndrew Morton氏も加わっている。しかし同団体は、IntelやHewlett-Packard(HP)といったコンピュータ業界の大手企業によって創設されたものであるため、Linuxプログラマーとより強力な関係を築くことを望んでいる。

 OSDLの最高経営責任者(CEO)であるStuart Cohen氏は声明のなかで、「われわれは新たに設置したこの諮問委員会によって、開発コミュニティーが直面している最重要課題や技術的要求に対してリソースおよび人を集中する上でのより良い指針が得られるものと期待している」と述べている。

 米国時間3月22日に発表された諮問委員会の設置は、Linuxが商業的な利益の追求に巻き込まれ始めた数年前から何度か表面化した緊張関係を反映している。Intel、IBM、HPといったコンピュータ業界の大手企業は、高名なLinuxエンジニアを多数雇用しているが、プログラマーらは業界から独立した勢力や文化を維持している。

 諮問委員会のメンバーには、NovellのGreg Kroah-Hartman氏を含め、著名なオープンソース開発者が名を連ねている。なお、Kroah-Hartman氏はLinuxのUSBサブシステムの管理者であり、過去にはOSDLを批判している。

 Kroah-Hartman氏は2005年9月に自らのブログで、「私は、OSDLの数年にわたるLinuxカーネルコミュニティーとのやり取りの仕方や、コミュニティーを代表していると見せかけるやり方には感心していない」と書いたり、「私は、OSDLがLinuxカーネルコミュニティーにとって非常に良いチャンスとなると思っているが、そのチャンスが遠ざかっていくのを見て失望を感じている」と書いたりしている。

 Kroah-Hartman氏や彼の同僚との議論は進展し、2006年1月には、OSDLの委員会に対して意見書を提出している。17人の著名なカーネルプログラマーはこの意見書において、技術諮問委員会のアイデアを公式に提示し、カーネルプログラマーがOSDLの委員会役員の主要メンバーとなるべきであると提案した。

 この技術諮問委員会のメンバーとなったJames Bottomley氏は、SteelEyeの最高技術責任者(CTO)であり、LinuxのSCSIサブシステムの管理者でもある。同氏はまた、技術諮問委員会の委員長を務めることになっている。

 技術諮問委員会のメンバーは任期が2年で、OracleでLinuxエンジニアリングのディレクターを務めるWim Coekaerts氏、元IntelのLinuxエンジニアでLinuxカーネルの管理者でもあるOracleの主任開発者Randy Dunlap氏、Silicon Graphicsの主任技術者Christoph Lameter氏、Consumer Electronics Linux Forum(CELF)代表でLinux Tinyの管理者でもあるMatt Mackall氏、IBMのシニアエンジニアでLinuxファイルシステムの管理者でもあるTheodore Ts'o氏、LinuxカーネルのゼネラリストArjan van de Ven氏、Red HatのシニアエンジニアでLinuxセキュリティモジュールの管理者でもあるChris Wright氏が含まれる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI を活用した革新的な事例 62 選 課題と解決方法を一挙紹介

  2. セキュリティ

    新入社員に教えるべき情報セキュリティの基礎知識--企業全体を守るための基本ルールを徹底解説

  3. セキュリティ

    KADOKAWAらの事例に学ぶ、2024年サイバー攻撃の傾向と対策

  4. セキュリティ

    【マンガで解説】なぜ中小企業でも最新のセキュリティ対策を強化しなければいけないのか?

  5. ビジネスアプリケーション

    調査結果が示す、通信業界の「生成 AI 活用」インパクト--成果を達成する 4 つのユースケース

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]