ボストン発--著作権保護技術のサポートを追加しないとLinuxがコンシューマー市場から排除される危険がある、とRealNetworksの幹部が主張している。
しかし、Free Software Foundation Europe(FSFE)は米国時間4月6日、消費者はデジタル著作権管理(DRM)にデジタルメディアの利用を制限されたくない考えを明確にしているとし、この主張に異論を唱えている。
当地で開催されたLinuxWorldで4日に講演したRealNetworksのバイスプレジデントJeff Ayars氏によると、LinuxがDRMをサポートしないと、制限付きのデジタルコンテンツが同OS上で利用できなくなり、コンシューマー市場での成功に影響が出るという。
「LinuxがDRMをサポートしないと、エンターテイメントプラットフォームとしては最終的に専用機やWindows PCしか残らなくなる。消費者の要求するマルチメディア技術が実現できないため、Linuxの用途がサーバやビジネスに制限されてしまう」(Ayars氏)
同氏は、MicrosoftのVistaには「Protected Media Path」「Protected Video Path」「Protected User Mode Audio」など、多数のデジタル著作権技術が実装される点を指摘した。Ayars氏は、「Linuxにも同じような対応を期待する」と語っている。Ayars氏によると、DRMシステムは別途インストールされたドライバを信用できないため、Linux OS内でのサポートが必要だという。
しかし、FSFE会長のGeorg Greve氏は、Linuxがコンシューマー市場から排除されてしまうというAyars氏の主張に異論を唱え、ユーザーはDRMを好まない、と主張している。
同氏は電子メールのなかで、「ソニーのrootkit事件により、DRMが消費者に受け入れられない理由や、DRMの成功事例がない理由は明確になった。AppleのiTunesでは、ユーザーが自分の曲を普通のCDに書き込み、再エンコードして簡単に共有できるようになっている。DRMは『デジタル不自由管理』だとしか説明できない。eMusic.comでは、合法的な楽曲に制限をかけずに提供している。両者に迫る人気のあるDRMプラットフォームは1つもない」と述べている。
「幸いにも、コンシューマー市場で市場の要求を決めているのは消費者だ。そして、その答えが『DRMは不要』であることは明確だ。コンピュータの1つ1つの操作をメディア業界の管理下に置くというバカげた概念を早く排除すれば、本当の代替案をその分早く探し始められるようになる」(Greve氏)