Hewlett-Packard(HP)が、自社のUnix OSのセキュリティと仮想化を改善したリリースの準備を進めている。この改善により、以前から約束してきた「Itanium」のパフォーマンス上の利点が活用できるようになる、と同社では述べている。
改良の大半は「HP-UX 11i」のバージョン3のなかで行われる。同バージョンは、2006年中の出荷開始が予定されているが、正式な発売は約3カ月後になると、仮想化およびIntegrityサーバソフトウェアディレクターNick van der Zweep氏は語っている。ただし、保存時にファイルを自動的に暗号化するセキュリティ機能はバージョン2に搭載済み。
HP-UXは、Sun Microsystemsの「Solaris」やIBMの「AIX」とともに、Unixの整理統合を生き抜いた3大主力サーバ版UNIXの1つ。この整理統合では、HPの「Tru64 Unix」、Silicon Graphicの「Irix」、Sequentの「Dynix/ptx」、そしてData Generalの「DG/UX」が消えていった。HP-UXは、オリジナルの「PA-RISC」チップを搭載したHPサーバに対応しているが、同社では、これらを利用中の顧客をIntelのItaniumプロセッサを採用した新しい「Integrity」シリーズに移行させようとしている。
AIXはIBMのPowerベースのシステムに対応し、Solarisは、Sunと富士通のSPARCベースのマシンや、x86プロセッサを搭載した各種サーバに対応する。x86プロセッサには、IntelのXeonやAdvanced Micro Devices(AMD)の「Opteron」などのプロセッサが含まれる。SunもIBMも、当初イメージしたより普及の速度も度合いも見劣りするItaniumを頻繁に中傷している。
しかし、ソフトウェア開発ツールであるコンパイラが変更されたため、HP-UX 11iのバージョン3が動作するItaniumシステムは競争力が高まると、HPでは見ている。
コンパイラは人間の書いたプログラムをコンピュータの理解できる命令に変換するが、Itaniumシステムは当初、非常に洗練されたコンパイラにより同チップ上でソフトウェアが高速動作するという触れ込みだった。このような約束を果たすのは当初の予想より難しいことが判明したが、HPは、今その努力が報われようとしている、と話す。
新コンパイラのおかげで、サーバソフトウェアはバージョン3の方が全般的に25〜35%高速に動作し、Javaプログラムではさらなる高速化が実現すると、van der Zweep氏は語っている。
同氏はコンパイラの開発について、「かなり前にいろいろな約束をした。われわれは、密かにその約束を果たそうとしてきた」と述べている。
HPは先ごろ、顧客が早期の搭載を望んでいたクラスタファイルシステムなどの機能をアップデート版のバージョン2に組み込むべく、バージョン3の予定を延期していた。
仮想化とセキュリティ
仮想化は今注目の技術だ。顧客らはこの技術を活用して1台のサーバで複数のOSを動かし、1台のマシンをパーティションで区切って効率を上げている。必ずしも発売時に搭載されるかどうかは分からないが、HP-UXのバージョン3で改善される仮想化関連の仕様の1つが、コンピューティングリソースをこれらのパーティションに割り当てる際の柔軟性の向上だと、van der Zweep氏は語っている。
具体的に言うと、管理者は現在、各パーティションに対して特定の割合で処理能力を割り当てることができる。だがバージョン3では、管理者が、メモリやネットワーク容量などのI/O資源も割り当てられるようになると、van der Zweep氏は語る。
セキュリティ面ではもう1つ、セキュリティを設定したり、不要なサービスを停止させてコンピュータをロックしたりする管理インターフェースの改良が12月中に正式発表予定だと、同氏は語っている。
van der Zweep氏は、「不要なサービスが1つでもあると、だれかがバックッドアから侵入してくる可能性がある」と語っている。バージョン3では、「Bastille」ロック技術のインターフェースと通常のシステム運用インターフェースが統合される。同バージョンには、不要なサービスが動作しないようサーバを長期的に監視する新機能も搭載されていると、同氏は加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ