Linux PCで複数のOSを同時に実行可能とする新しい仮想化技術「Kernel Virtual Machine」(KVM)が、Red Hatの大きな支持を得ることになった。
大手LinuxベンダーのRed Hatで最高技術責任者(CTO)を務めるBrian Stevens氏は米国時間2月13日、同社は愛好家向けに提供してきたLinuxディストリビューションである「Fedora」の次期バージョンにKVMを搭載することを予定していると述べた。「われわれはいまFedora 7向けに準備している」とStevens氏は述べた。
Red HatによるKVMの支持を表明する前にも、その予兆としてLinuxの生みの親で、同OSの開発を指揮するLinus Torvalds氏が2007年2月に主要なLinuxソースコードツリーにKVMを組み込んだことを発表していた。これにより、メンテナンスやデバッグが容易になり、プロジェクトは広く認知されることになる。
Stevens氏は、KVMを支えるQumranetのCTOであるMoshe Bar氏がとった技術的アプローチも気に入っているといい、「彼は本当にすばらしい方法を考案した」と述べた。
しかしStevens氏は、KVMは別のオープンソース仮想化技術で「Xen」に遅れをとっていると述べる。Xenは同社が次期リリース予定の「Red Hat Enterprise Linux 5」(RHEL5)最大の新機能である。「今日のXenと同等のレベルに達するには1年ほどかかるだろう」(Stevens氏)
Red HatでKVMに従事する人物の中には、同社きっての頭脳の持ち主であるIngo Molnar氏がいる。Molnar氏は、KVMの中に、Paravirtualization(擬似仮想化)機能を構築中である。これにより、仮想マシンはより直接的にネットワークカードやストレージシステムなどのコンピュータハードウェアといままでよりも直接的に通信することが可能となり、ボトルネックとなっている部分を取り除くことができる。
例えばMolnar氏は2007年1月、擬似仮想化によりKVMネットワーク転送速度が10Mbps未満から300Mbps以上にまで向上したと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ