Microsoftの主張によれば、ハードディスク暗号化技術「Bitlocker」をVistaとともに採用することを計画している企業は、ハードディスクの安全な廃棄手段を手に入れることになるという。
Microsoftは米国時間4月25日、Vistaでは高い安全性が確保されているため、企業はハードディスクを廃棄する際にデータ漏洩の心配をしなくてもよくなると発言した。これは、廃棄物の削減を目的とした環境保護法案が近々施行されることに即した発言となっている。
Microsoft UKでプラットフォーム戦略を指揮するNick McGrath氏は、「Infosecurity 2006」において、「VistaとBitlockerを採用すれば、企業はハードディスクを廃棄する際、(それらが)安全だと確信することができるだろう」と述べた。
ただMcGrath氏は、Bitlockerの暗号化にはバックドアが設けられており、警察は捜査の対象となったシステムに保存されている情報を復号化できるようになっているという意見を否定した。
同氏は「この技術自体は100%安全なものだ。われわれはバックドアを設けるようなことはしない」と述べ、「Bitlocker技術にはバックドアは存在していない」と強調した。
Bitlockerの暗号化には、Trusted Platform Module(TPM)が用いられる。これは、マザーボード上に搭載されるチップであり、暗号鍵が格納されている。MicrosoftのテクニカルセキュリティアドバイザーのSteve Lamb氏によれば、ハードディスク上のデータの暗号化と復号化には、米国政府も使用している「Advanced Encryption Standard(AES)」が用いられ、鍵は暗号化と復号化の双方に使用されるという。
Microsoftは、暗号化技術によって犯罪者が安全にデータを保存できるようになるため、警察がこういったデータを手に入れることができなくなるという意見を否定した。
Lamb氏は、「十分な計算パワーをかければ、どのような暗号化アルゴリズムでも破ることができる」と述べている。同氏は、ハッカーによって暗号を解読されるというリスクを企業が負うことになるという点は認めたが、解読に必要となる計算パワーを行使できるのは政府だけだと述べた。
Lamb氏によれば、暗号化されたハードディスクの破棄方法は、ポリシーに基づいて選択されることになるだろうという。
Lamb氏はZDNet UKに対し、「Bitlockerを使用することで、データにまつわるリスクは大幅に削減されることになる。私は誰にも不愉快な思いをさせたくはないが、人々は『リスクに対しての許容度は?』と自身に問いかけ、適切な制限を設ける必要がある。一部の企業はそのまま廃棄してもリスクが低いと判断する一方で、軍はTPMを粉砕することに決めるかもしれない」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ