トレンドマイクロ主催のプライベートカンファレンス「Direction 2009」では、企業の最前線でITを駆使して経営改革に取り組む企業の講演があった。
その企業とはセブン&アイ・ホールディングス。同社執行役員シニアオフィサーの佐藤政行氏が「セブン-イレブンのビジネスを支える総合情報システムとは〜ビジネス改革と事業継続に向けた取り組み〜」と題し、セブン-イレブンのビジネスと改革を支える情報システムの一端を解説した。
仮説、実行、検証のサイクルとオリジナル性が大きな武器に
国内コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンは、売上高2兆7625億円(2008年度)、経常利益1879億円(同)、店舗数1万2298店(2009年2月)という規模を誇る。売上高はこの分野全体の34%、店舗数は同じく29%を占めており、1店あたりの1日平均来客数は1014人、年間総客数は44億人にも上る。
同社を訪れる顧客は男性が66%。年齢層別では、20代が最多で25%、次いで30代が24%と、20〜30代でほぼ半数を占めるが、意外にも50代が20代と並ぶ25%に達していることも注目される。
これは2008年の調査だが、来客の平均年齢は37歳だ。15年前は27歳で、この間に毎年0.7歳上昇していることになり、日本の少子高齢化の流れがはっきりと投影されている。2007年の商業統計では、小売業の年間販売額は約135兆円で、この10年で市場は22兆円も縮小している。この業界で大きく成長していくことは容易ではないことがわかる。
このような環境の下、セブン-イレブン・ジャパンはどう経営の舵を取っていくのか――同社が主題としているのは「小売業は変化対応業」ということだ。
佐藤氏は、「当社は顧客ニーズへの対応とサービスの充実を標榜しており、POSのデータや天候なども考慮して仮設を立て、商品を発注し、結果を見て、検証している」と話す。
商品の独自性と供給の速度も大きな要因で、「店舗の近くに工場を置き、オリジナル商品を提供する」ことで対応している。これらの工場では、米飯、調理パン、惣菜、焼きたてパンなどを扱っており、「最近では売上の56%はオリジナル商品になっている」という。
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これらの施策を打っていくためには、メーカーなどの取引先とデータを連携させる必要がある。