Open Source Development Labs(OSDL)は米国時間9日、オープンソース開発コミュニティが提供を受けた特許の情報を統合していくプロジェクトの計画を明らかにした。
OSDLのCEOであるStuart Cohenは、この計画はまだ検討段階にあるとした上で、これが実現すれば、オープンソース開発コミュニティは提供された特許を簡単に検索/利用することが可能になると述べた。最近では、IBMやSun Microsystems、Nokiaなど数多くの企業が、自社の保有する特許をオープンソース化している。
「OSDLの特許共有プロジェクトは、過去1年間にオープンソース化された数多くの特許の使い勝手と価値を高めるように考えられている。このプロジェクトでは、中央レポジトリを設け、われわれ全員がそのなかにある知的財産の恩恵を受けられるようにしていく」とCohenは声明の中で述べている。「特許や知的財産を提供して、オープンソースコミュニティを支援したいと考えるベンダーや個人、組織のすぐれた技術を、開発者や企業が活用できるようにすることが、わたしたちの目標である」(Cohen)
この特許共有プロジェクトでは、オープンソースコミュニティ向けに提供される特許や補償プログラムを含む、関連の法律情報を含んだライブラリやデータベースも公開する。なお、OSDLでは今後数カ月以内に、このプロジェクトについてのさらに詳しい情報を発表するとしている。
Free Software Foundationの法律顧問で、オープンソースに関わる人々に無料で法律上のアドバイスを提供するSoftware Freedom Law Center(組織)の設立者でもある、コロンビア法科大学院教授Eben Moglenは、OSDLのこうした取り組みを賞賛し、開発コミュニティに同プロジェクトをサポートするよう呼びかけている。
「OSDLは、この特許共有プロジェクトのような、重要な法的取り組みを先導するのにうってつけの存在である。私個人はソフトウェア特許に反対しているが、そうした特許に対してどんな見解を持っているにしろ、開発者はOSDLの特許共有プロジェクトを支えていくべきだと思う。個々の取り組みが統合されれば、法的な安全地帯が生まれ、開発者はそのなかで何も恐れることなく開発に専念できるようになるからだ。数が多くなれば、それだけ強みも増す」と、Moglenは主張している。
これに対し、やはりソフトウェア特許に反対しているデジタルメディア専門家のFlorian Muellerは、特許侵害訴訟から身を守る方法は主に反訴に限られていることから、OSDLのプロジェクトがオープンソース開発者を強固に保護するのは難しいと考えている。同氏によると、オープンソース開発コミュニティに対し、自社の特許を自由に使ってよいとしている企業でも、オープンソース開発者がそうした特許を利用して、法的な反撃を企てることまでは許していないという。
「オープンソースに敵対する対象を逆提訴することが可能な特許が統合されるなら、これは真の防御壁となり得るだろう。ソフトウェア特許をめぐって起きている紛争は、ちょうど冷戦のようなものだ。すなわち、人々を守る唯一の方法は、相互破壊だけなのである。IBMやSunが提供した特許は、オープンソースが反撃を行う可能性に一切言及していない。要は単なるPRだったということだ」とMuellerは声明のなかで述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ