サンフランシスコ発--ソフトウェア特許がオープンソースの発展を妨げないようにするため、Linux関連の2つの組織が、互いに相手の常套手段を模倣しようとしている。
Linux販売大手Red Hatは米国時間9日、当地で開催中の「LinuxWorld Conference and Expo」において、外部プログラマの特許取得に資金を提供していく意向であることを明らかにした。こうした特許は、オープンソース開発者が自由に利用できるようになる。同日にはOpen Source Developer Labsも、オープンソース開発コミュニティに提供された特許のリストを作成するという、特許共有プロジェクトを立ち上げている。
特許侵害訴訟が共同開発を久しく阻害していることから、一部のオープンソースプログラミング支持者らは、特許制度そのものに反対するようになっている。こうした取り組みは、オープンソース開発コミュニティの人々が持ち始めている、特許侵害訴訟の脅威に対して既存の特許システムの枠内で戦いを挑もうという意欲の表れである。
IBMのソフトウェアグループゼネラルマネージャSteve Millsは、「産業界における特許テロリズムに対抗するための新たなアイデアが、大きなうねりとなってその姿を見せるようになってきた」と、インタビューに答えて語った。
取り組みを成功させるには、オープンソース組織側の特許のプールが十分に拡大したあかつきに、大手IT企業とそのライバルが再三繰り返している戦法を模して、そうした大企業と特許を共有するライセンスを締結すればよいと、Software Freedom Law Centerの議長でFree Software Foundationの法律顧問でもある、コロンビア法科大学院教授Eben Moglenは述べている。
Moglenはインタビューで、「特許の相互利用に関して交渉を開始すれば、これがどれほど功を奏するかすぐにわかるはずだ」と話した。
Moglenはまた、テクノロジー企業は、知的財産所有権に対する態度をすでに軟化させ始めていると指摘する。「企業の行動を見ると、彼らがこの問題を再考しようとしていることがわかる」(Moglen)
これを象徴する大きな動きとしては、IBMが前年のLinuxWorldで、Linuxカーネルが自社の特許を侵害していることが判明しても、訴訟を起こさないと明言したことが挙げられる。2005年1月には、同社は500件に上る特許をオープンソースで利用できるようにした。