世界で最も歴史のある保険組合Lloyd's of Londonが、オープンソースソフトウェアが知的所有権を侵害した場合の保険について、近日中に引き受けを開始する可能性がある。
この保険は、ブローカー(代理店業者)を通して提供される。提供先となるのは、使用しているLinuxなどのオープンソースソフトウェアが知的所有権を侵害した場合に、その知的所有権を保有する企業からの提訴を心配する企業や団体などが挙げられる。
保険会社Open Source Risk Management(OSRM)の最高業務責任者(COO)であるJohn St. Clairは現地時間12日、OSRMが数カ月以内にオープンソース保険の提供を開始する予定の多くのLloyd'sのシンジケートと共同で作業を進めていることを明らかにした。
St. Clairによると、この保険は、まずオープンソースのLAMPスタックに適用されるという。LAMPスタックとは、オペレーティングシステム(OS)のLinux、ウェブサーバのApache、データベースのMySQL、そしてスクリプト言語のPerl/PHP/Pythonの総称。また、他のオープンソース製品も、市場の需要次第で今後この保険の対象に追加される可能性がある。
この保険はすべてのLinuxディストリビューションを対象とするものとなる。ちなみに、Hewlett-Packard(HP)、Red Hat、Novellの各社が提供するLinuxの知的所有権保障は、特定のディストリビューションにしか適用されない。
OSRMは昨年、Linuxに関する調査を外部に委託したが、この調査の結果、Linuxが283の特許を侵害している可能性があることがわかった。この調査結果は後日、Linuxへの移行を顧客に思いとどまらせるための材料として、Microsoftに利用された。
St Clairは先週、オープンソースとプロプラエタリなソフトウェアにおける知的所有権の侵害の可能性は同等であるが、顧客が恐れているのは、単一のベンダーに関連づけられないオープンソースソフトウェアを使うことで、知的所有権侵害訴訟に巻き込まれる可能性がある点だと語った。
「オープンソースが、プロプラエタリなソフトウェアに比べ、大きなリスクを負っているというわけではない。しかし、所有者が1企業に限定されていないため、顧客と知的所有権の所有者の間に立ってくれる単一の所有者が存在しない。これは、オープンソースの導入を検討している企業にとって、難しい課題となっている」(St. Clair)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ