Mozilla Foundationは米国時間3月21日、数百万ドルに上る同財団の利益の一部を、開発者コミュニティで活発な活動を行うメンバーへの援助に使うという計画を発表した。
同財団の2004年の利益は580万ドルで、2005年の利益は数千万ドルに達したと言われており、そのほとんどはGoogleやYahooといった検索企業とのパートナーシップからのものとなっている。そして、利益の大部分はユーザー開拓のために使われたものの、いくらかは積立金に回されている。
Mozilla Foundationの営利目的の子会社Mozilla CorporationでCEOを務めるMitchell Baker氏によれば、Mozillaは余剰利益の一部をコミュニティに還元することを計画しているという。
「Mozilla Group(Mozilla FoundationとMozilla Corporation)は、何かを成し遂げる上で重要な役割を果たす従業員を抱えているが、彼らはプロジェクトの一部を構成しているに過ぎない。われわれの組織外では数多くのことが起こっている」とBaker氏は述べている。「われわれは事業の運営に必要な額以上の資金を手にしており、その一部はコミュニティメンバーに還元されるべきだと表明している。そしてわれわれは、コミュニティの活動を促進するやり方でこれを還元したいと思っている」(Baker氏)
Baker氏は、この還元がいつ頃行われるかはまだ決まっていないが、現在は資金の分配方法についてのモデルを検討している段階であり、「近いうち」にコミュニティに対して資金を還元できるはずだと述べた。また同氏によると、こういったモデルに対して意見を述べる機会がMozillaコミュニティにも与えられるという。
「オープンソースコミュニティには、われわれが参考にし、真似ることができるようなモデルは存在していない」とBaker氏は言う。「開発プロジェクトの参加者は世界各地にちらばっており、行っていることもさまざまだ。われわれは、彼らが納得するようなモデルを作る必要がある。モデルを構築し、それについて大々的なPRイベントを開催し、資金を分配した後で、効果がなかったとか、資金がふさわしい人々の手に渡らなかったとかいう結果に終わることは避けたいと思っている」(Baker氏)
過去には、JBossやMySQLといった多くのオープンソースプロジェクトがその利益を使ってプロジェクトの参加者を募ったことがあるものの、コミュニティに直接還元されるというのは比較的珍しいことだとRishab Ghoshは述べている。同氏は、オランダの研究機関MERITで、EUからの資金供与を受けたオープンソース研究のプログラムリーダーを務めている。
「Mozillaは、エンドユーザーにも非常に高い認知度がある製品を持ち、また同財団が相当な額の売上を稼いでいるという点で、各種のオープンソースプロジェクトのなかでもどこか毛色の変わった存在だ。他のオープンソースプロジェクトでは、売上を上げているのは企業を含む個々のプロジェクト参加者(contributor)である場合がほとんどで、開発者はコンサルティング業務をやったり企業で働いたりしてお金を稼いでいる。そうしたことから、Mozilla Foundationが特定の個人開発者への資金提供を検討しているというのは非常に素晴らしいことだ」とGhosh氏は電子メールのなかで述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ