多くの人々が、既存のソフトウェアプロバイダーの勢力をしのぐオープンソース企業が早晩生まれるだろうと考えているが、Red HatによるJBossの買収は、まさにそうした将来を垣間見せてくれるものだった。
米国時間4月10日、Red HatがJBossのオープンソースJavaミドルウェアを取得し、自社のLinuxディストリビューションで利用していくことを発表した。こうした噂は、数カ月前から飛び交うようになっていた。両社のオープンソースビジネスモデルはよく似ており、ともに企業顧客に対してサブスクリプション方式のサポートを提供している。また、どちらの製品も無料でダウンロードできる。
JBossの製品をラインアップに加えることで、Red Hatの製品ポートフォリオは充実し、企業ユーザーおよび開発者に対するプロバイダーとしての重要性がさらに増すと考えられる。Red Hatは、今回の買収が2007年の増収につながると話し、急成長を遂げているJBossの今年の収入は6000万ドルに達する勢いだと述べた。
アナリストらは、注目を集める両オープンソース企業の合併により、ビジネスソフトウェア市場に対するオープンソースソフトウェアおよびその利用の影響力が拡大している現状がより際立ったと指摘している。
多くの製品やサービスを組み合わせることで、Red Hatは既存のビジネスソフトウェア企業とも対等に渡り合えるようになる。業界最大手のMicrosoftやIBM、Oracle、Sun Microsystems、Novell、BEA Systemsなどの各社も、ソフトウェアインフラストラクチャ製品群にサードパーティ製品の「エコシステム」やパートナーネットワークを取り入れて、完全な「スタック」とすることを目指している。
Forrester ResearchのアナリストMichael Goulde氏は、「(今回の買収には、ベンダーの)エコシステムにオープンソースを組み入れて再構築するという意味がある。エコシステムが、ユーザーが独自に作り上げるものからブランド力を持つものへ変わっていこうとしているのである」と話した。
買収金額は3億5000万ドルにおよび、JBoss部門の業績次第ではさらに7000万ドルが支払われる予定になっているが、こうした契約規模の大きさからも、Red Hatが早期の増収を楽観視していることがうかがえると、Goulde氏は述べている。
一方、JBossの創立者であり最高経営責任者(CEO)であるMarc Fleury氏は、高い普及率を誇るJavaアプリケーションサーバを提供するJBossは、買収対象として魅力的な存在であり、実際に多くの企業と話し合いをしたと語った。
Red HatのCEOを務めるMatthew Szulik氏は、企業および政府組織ユーザーがオープンソースモデルへの関心を深めている現状を受けて、JBossの買収を決定したと話している。
「競争相手がRed Hatであろうとなかろうと、オープンソースが(ソフトウェア)インフラストラクチャビジネスに対抗するようになるのは、時間の問題だった。こうした流れは、今後アプリケーションレベルにまでおよぶと考えている」と、Szulik氏はCNET News.comのインタビューに対して述べた。