欧州委員会は、たとえ国際標準化団体がOpenDocumentファイルフォーマットを承認したとしても、同フォーマットを推奨することには消極的なようだ。
この問題に詳しい情報筋によると、独自のファイルフォーマットを標準規格にしようとするMicrosoftの取り組みが、欧州委員会によるOpenDocumentの支持を思いとどまらせている可能性があるという。
OpenDocumentは「OpenOffice」スイートを含む多数のアプリケーションでサポートされているが、現在「Microsoft Office」はOpenDocumentをサポートしていない。米国時間5月2日、国際標準化機構(ISO)および国際電気標準会議(IEC)は同ファイルフォーマットを標準規格として批准した。
2005年10月、欧州委員会傘下の組織であるInteroperable Delivery of eGovernment Services to Administrations, Businesses and Citizens(IDABC)のBarbara Held氏は、OpenDocumentがISOの標準規格として承認されれば、IDABCでも同ファイルフォーマットを推奨していくと述べていた。しかし、同氏がこの声明を出した1カ月後、Microsoftが独自の「Office Open XML」ファイルフォーマットを欧州の標準化団体であるECMA Internationalに提出し、これをISOの標準規格とするための布石を打った。
5月4日、IDABCの関係者がZDNet UKに語ったところによると、同組織は近く方針を改める予定だが、第二のISO標準規格が今後現れる可能性もあることから、OpenDocumentを特に推奨するようなことはないという。
「われわれが政府機関に対し、オープンなドキュメントフォーマットを導入するように強く勧める可能性は極めて高い。しかし将来的に2つの標準規格が存在するような場合を考慮して、特定のフォーマットを推奨するようなことはないと思われる。われわれは業界の関係者に対して、フォーマット間の互換性を確保し、最終的には1つのフォーマットになるよう取り組むことを強く要請するだろう」と同関係者は述べた。
IDABCを管理する欧州委員会の企業産業総局(Enterprise and Industry Directorate General)の関係者は5月5日、2つの競合するISO標準規格が現れる可能性があるとして、オープンドキュメントフォーマットに関する方針を改めることを認めた。
同関係者は、IDABCが将来OpenDocumentを推奨するか否かについてはコメントを避けた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ