マイクロソフトは7月25日、業務アプリケーションの新ブランド「Microsoft Dynamics」について、国内における事業戦略を発表した。
Microsoft Dynamicsは、2005年9月に発表されたブランド名で、CRM製品1種類と、ERP製品4種類からなる。CRMはMicrosoft純正の製品だが、ERP製品は、2002年に買収したデンマークNavisionの製品を元にした「Axapta」および「Navision」と、2000年に買収した米Great Plainsの製品を元にした「Great Plains」および「Solomon」からなる。このうち日本では、CRMソリューション「Microsoft Dynamics CRM」を2006年9月に発売し、ERPとしてはAxaptaベースの「Microsoft Dynamics AX」を2007年4月に発売する予定だ。
マイクロソフトの御代茂樹氏。Dynamics CRMはNBAチームのファンクラブ管理にも使われているという
残り3つのERP製品は、日本での発売予定はない。その理由について、同社ビジネスソリューションズ事業統括本部 製品マーケティング本部 本部長の御代茂樹氏は、「いずれこの4つのERP製品は統合していく方向だ。すべてを1つにまとめるかどうかはわからないが、2つくらいにはなるだろう」と話す。その中でなぜAXが選ばれたのかについては、「AXはレイヤ構造がきれいで統合がしやすく、最終的なコンポーネントとして残る可能性が高い」(御代氏)としている。
Dynamics CRMは、すでに22言語に対応しており、導入企業数は7000社以上、ユーザー数は18万人以上にのぼる。中小企業での採用が中心だが、American Family Life Assurance Company(Aflac)やVolvo、Boeing、Pfizerなどの大企業でも採用実績がある。9月に発表予定の最新版Dynamics CRM 3.0は、米国では2005年12月にリリースされていたものだ。
ターゲットとする市場について、御代氏はIDC Japanの国内ERP、SCM、CRMソリューション市場の数値を例に出し、「ソフトウェアパッケージとしての市場規模は、サービス部分なども含めた全体の市場の約20%でしかない。すでに多くのパッケージベンダーも存在するため、マイクロソフトとしてもパッケージとしてCRM製品を提供するつもりはない」と話す。御代氏は、販売管理や生産管理などのシステムを自社開発している企業が約60%近く存在することを指摘し、「この自社開発部分をマイクロソフトが提供し、導入を早めるためのソリューションにしたい」と述べた。
ただし、ソリューション提供するとなると、パートナーとの協業が欠かせない。協業の方法として御代氏は、「パートナーがDynamicsの上に拡張機能やテンプレートを提供するケース、パートナーがすでに提供している既存の製品と連携するケース、パートナーが自社製品に組み込んで提供するケースの3パターンがある」という。つまり、すでに業務パッケージを提供している企業もパートナーとなる可能性があると御代氏は説明する。
米国で発表されたDynamics CRM 3.0は、ホスティング業者がウェブ上のサービスとしてCRM機能を提供できる形式になってはいるが、これはSalesforce.comなどのように、マイクロソフトがASPとなってソフトウェアをサービスとして提供するような「マルチテナント」形式ではない。米国では7月12日に、オンラインサービス「Windows Live」の一環として、「Microsoft Dynamics CRM Live」を2007年に提供する予定だと発表したが、御代氏は「CRM Liveについての日本での提供予定は全くの白紙状態」と述べるにとどまっている。なお、CRM Liveは、Dyamics CRMの次期バージョンである「Titan」(開発コード名)の一部として提供される予定だ。
製品の機能そのものは、競合他社が提供するCRM製品と大きな違いはない。ただし、アピールできるポイントとして、同社 ビジネスソリューションズ事業統括本部 製品マーケティング本部 製品戦略部長の新保将氏は、「ユーザーにCRMを使っていると意識させないほど、ExcelやOutlookなどのMicrosoft製品と連携している。新たなツールを使いこなす手間もなく、例えばメールを送る際に特定の営業案件にひも付けして送信し、CRMにて案件を管理できるなど、ツールを切り替えることなくCRM機能が使える。われわれの提供するシングルサインオンの強みなどから、ユーザーが広がるきっかけになるだろう」と述べた。
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