サンフランシスコ発--Linuxサーバの2大ベンダーであるRed HatとNovellは、仮想化環境を実現するソフトウェア「Xen」を製品に組み込み始めたばかりだが、早くも、さらに高レベルのオプションを追加する計画を打ち出した。
Xenは、「仮想化」という発想に基づいて1つのマシン上で複数のオペレーティングシステム(OS)を同時に動かす「hypervisor」ソフトウェアだ。仮想化によって企業は1台のサーバをより効率的に利用でき、経費の節減にもつながる。そして、新たに加わるオプションは「container」と呼ばれるもので、1つのOSをあたかも複数のように見せるという、さらに高いレベルでの仮想化へのアプローチとして注目を集めている。
具体的には、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」やNovellの「SUSE Linux Enterprise Server(SLES)」の次期主要バージョンに、containerが搭載されることになりそうだ。製品の主要バージョンアップ前にこのオプション機能を追加する可能性さえあると、両社の幹部たちは話す。
現在、containerをLinuxに組み込むプロジェクトとしては、「Vserver」と「OpenVZ」の2つが進行中だ。OpenVZはSWsoftが後押ししている。全体として、これらのプロジェクトの見通しは明るいという。
Gabriel Consulting GroupのアナリストであるDon Olds氏は、「containerによるアプローチの大きな利点は、hypervisorに比べて、オーバーヘッドがかなり小さいことだと思う。そのため、ずっと高いパフォーマンスが得られる」と指摘する。
containerの人気は高まる傾向にある。Sun Microsystemsは2005年に、「Solaris 10」で独自のcontainer技術を導入した。Microsoftも既存技術にcontainerを適合させる取り組みを行っている。
しかし、containerがすべてのタスクに適しているとは限らない。一例を挙げると、containerではすべてのアプリケーションが完全に同一のOS上で稼働していなければならないという制約がある。一方、Xenや、仮想化ソフトウェアでの地位を確立したVMware(EMC傘下)の「VMware」にそうした制約はない。それでも、containerは魅力的ではある。
次に検討すべきこと
Red Hatの最高技術責任者(CTO)であるBrian Stevens氏も、LinuxWorld Conference and Expoでの取材に答え、containerについて「われわれも実現する日が来ることを望んでいる」と述べている。Red Hatでは、OpenVZとVserverのどちらを使用するかについて、まだ決定に至っていないという。
2006年末に発表が予定されている「RHEL 5」については、Xenの搭載が最優先となっているが、その後にcontainerが組み込まれる予定だ。「containerの搭載については、RHEL 6になると見ている」とStevens氏は言う。
一方、NovellのSUSEにはLinuxの高度な新機能がいち早く搭載されるとの定評がある。この評判を維持したいと考える同社はcontainerの導入にとりわけ積極的で、OpenVZの「SLES 10 Service Pack 1(SLES 10 SP1)」への搭載を検討している。「今は、OpenVZをSLES 10 SP1に搭載可能か、評価をしている段階だ」と、NovellのLinux製品管理担当バイスプレジデント、Holger Dyroff氏は述べている。
仮にcontainerがSELES 10 SP1に搭載されない場合も、次期主要バージョンであるSLES 11には簡単に組み込めるよう、NovellではSWsoftに対してLinuxプログラマーと協力するよう強く要請するつもりだと、Dyroff氏は語った。
なお、Linuxの非商用ディストリビューションの1つ、Debian Linuxは8月に「sid」と呼ばれる開発版にOpenVZを追加している。
また、Xenを導入するために行われている作業の中には、container搭載の下地作りに役立つものもある。具体例としては、ユーザーが仮想マシンのスタートや停止などの制御を行うための管理ツールがある。Red HatのStevens氏によると、同じ技術をcontainerの制御に使用できるという。
「2度目となれば、作業はずっと容易になるだろう。この機能を差し込むだけでいい。管理ツールはすでに組み込まれている」と、Stevens氏は語った。
関連情報
-
業績好転を目指すノベル、Linuxサーバに「Xen」サポートを追加 [From CNET Japan]
ノベルは米国時間7月17日、Linux製品のこれまでの不振を埋め合わせようと、メジャーアップデートを敢行した。エンタープライズサーバ製品には「Xen」仮想化ソフトウェアが追加され、デスクトップ版の方はグラフィックがより派手に変わった。 - 「Xenは安定している」:レッドハットの批判にノベルCTOが応酬 [From CNET Japan]
- 「企業で使用できる段階にはない」:レッドハットが「Xen」の取り扱いに慎重な姿勢 [From CNET Japan]
- Linux向けパーティショニング技術に関する各社の取り組み [From CNET Japan]
- 仮想化ソフトの新興企業2社、新戦略を発表へ [From CNET Japan]
- ノベル、「Xen」搭載の「SUSE LINUX Enterprise Server 10」ベータを発表 [From CNET Japan]
- レッドハット、仮想化ソフト「Xen」をRHEL 5に搭載へ [From CNET Japan]
- 仮想化ソフトのXenSourceでCEOが交替へ [From CNET Japan]
- ヴイエムウェアやバーチャルアイアン、仮想化技術市場での主導権争いが激化 [From CNET Japan]
- レッドハット、RHEL 4を発表--2.6カーネル採用、SELinuxを追加 [From CNET Japan]
- Red Hat
- Novell
「経営が知るべきバズワード」 の新着情報
-
2013年までに企業PCの約4割が仮想化される:IDC予想
2013年までに法人向けクライアントPCの約4割が仮想化されたものになる――。IDC Japanはこう予測している。 - 「ビジネスチャンスではなく義務」--IFRS対応支援を拡充するディーバの取り組み
- ウイングアークと日本オラクルが協業--中堅向けERPと帳票基盤で連携
- ディーバ、DWHおよびBI製品提供--企業グループでのリアルタイム情報分析に焦点
- 「顧客が求めるのはネットワークだけではない」--シスコ、コラボレーションツール市場に本腰
- 経営が知るべきバズワード 一覧へ »
「ソフトウェア」 のバックナンバー
-
ドリーム・アーツなど、多店舗展開企業向けSaaS型サービス最新版発表
ドリーム・アーツとネクスウェイは、多店舗運営で本部と店舗間の情報共有とコミュニケーションを促進するSaaSソリューション「店舗matic」の最新版を発表。新機能は11月27日から提供する。 -
「ビジネスチャンスではなく義務」--IFRS対応支援を拡充するディーバの取り組み
-
CTC、各種ITシステムのログを高速検索できる「Splunk Enterprise」の販売を開始
-
東芝ソリューションとマイクロソフト、新聞などメディア関連企業向けCMSソリューションで協業
-
ウイングアークと日本オラクルが協業--中堅向けERPと帳票基盤で連携
- ソフトウェア 一覧へ »
-
BIベンダーの選び方 −BIベンダー選定のための評価フレームワーク
- 日本モバイルインターネット端末市場分析 〜2008〜2012年のMID及びスマートフォン...
- 【導入事例集】多業種から評価されているWeb会議システム、24社の導入事例をご紹介
- CRMの限界を超える!「顧客経験価値マネジメント」実現の5段階
- POSデータを活用し、売上アップを導く「分析力」とは?
- ストレージ問題の課題に対する解決方法
- 企業コスト削減の傾向と対策 〜最新アプローチのトレンド〜
- iPhoneをビジネスで活用する時代へ〜ビジネス&モバイルのミライ〜
- 【日産自動車:BI導入事例】連結対象の36社からの情報を元に車種別損益管理を実現
- 中堅企業におけるテクノロジーと成長
企画特集
-
電力に"ふた"をする独自の省エネ機能とは!?
動的に電力割り当ても可能なHPの最新鋭ブレードに迫る -
高まるiSCSIストレージへの注目度
ストレージシステムの4つの課題とiSCSI導入のメリット -
企業ITシステムの企画、構築、運用のイロハ
戦略的なITシステムのために、今考えるべきポイント -
大丈夫?あなたの会社のセキュリティ対策
中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティを考える -
―エン・ジャパン厳選求人☆毎週更新―
ハンゲームの社長が語る・人材とサービスの在り方 -
【最終警告】パンデミック対策特集
サービス品質を保証するためのリスクマネジメントとは -
マネジメントの「コラム」と「コネタ」
今日のキーパーソンは誰? -
グリー、3人のエンジニアが語る仕事への想い
連載第2話、元SIerに聞くリニューアルと開発の舞台裏 -
100万円で実現!中小企業の情報漏えい対策
中小企業の課題!?セキュリティ管理者不在でも大丈夫 -
容量制限によるメール消去は一切無し!
全てを保存するメールセキュリティSaaSが登場 -
J-SOX法制定により内部統制の整備が急務に
重要性高まるActive Directoryの課題と対処法を公開中 -
急増するオンライン犯罪への解決策!
オンラインサービス保護ソリューション
-
7. ホットスポットと同時並列性分析について
この3分間のビデオは、Intel Parallel Studioの一部であり、アプリケー... -
8. Valarray
この5分間のビデオでは、Intelコンパイラの1次元Valarrayデータ構造に対...
