「製造業において、販売市場のグローバル化や製品ライフサイクルの短縮、原価削減は避けられない状況になっている。しかし、実際にはグローバル展開していても、販売実績や在庫情報が正しく把握できていなかったり、システム連携がなく、情報共有ができていなかったりというケースが多く見受けられる」。日本オラクル エンタープライズアプリケーション営業統括本部 製造営業部 ディレクターの宍戸武士氏は、同社が9月7日に開催した製造業向けアプリケーションの事業戦略説明会にて、製造業の課題についてこのように述べた。
実績が把握できていないのは、国や拠点ごとに製品名・品目コードが統一されていないことや、標準品とオプション品の構成が国ごとに違うこと、情報伝達の仕組みがないことなどが原因だ。宍戸氏は、「グローバルでの連結を実現し、製品や商品の情報と会計の情報がリアルタイムで一致する業務を作り上げることが重要だ。それが、オラクルの製造業向けソリューションの目指す姿でもある」と説明する。
こうした課題に対し、オラクルではすでに、予算管理や連結管理、販売・売上・在庫管理、バランススコアカード、汎用BI機能などを、「Oracle E-Business Suite」「Oracle Enterprise Planning & Budgeting」「Oracle Financial Consolidate Hub」などの製品群で提供している。また、グローバル統合マスターやトランザクションデータを処理するために、「Oracle PLM&PIM Data Hub」「Oracle Customer Data Hub」「Oracle E-Business Suite DataModels」「Oracle Database」などの製品群を用意している。
中でも宍戸氏は、オラクルがデータ中心のビジネスアプリケーションを提供している点に優位性があるとアピールする。いくら業務プロセスが整っていても、そのプロセスから生まれるデータがうまく把握できなければ、経営判断に生かせないためだ。また、データベースなどの基幹業務層から、インテグレーションを実行するデータハブ層、そして実務部分を支援する目的別アプリケーション層まで、「すべての層でアプリケーションを持っているのはオラクルだけだ」と、宍戸氏は同社の強みを主張した。
こうした製品群に加え、オラクルでは新たなソリューションとして、「Demantra」および「Oracle Transportation Management」を提供する。Demantraは、同社が6月に買収を発表したDemantra社の製品で、サプライチェーンマネジメントにおける需要予測シミュレーションツール。また、Oracle Transportation Managementは、オラクルの倉庫管理システム「Oracle WMS」と、同社が2005年11月に買収したG-Logの製品を組み合わせたグローバル物流の最適化ツールだ。
Demantraは、「現在検証中で、間もなく提供できる」と宍戸氏。同ツールについて宍戸氏は、「新しいエンジンが搭載されており、現在市場に出ている需要予測ツールより精度が高い。また、使いやすさも群を抜いており、結果分析で得られる情報も豊富だ」としている。Transportation Managementは、すでに提供されている。