4月25日から27日の3日間、ウェブコンテンツ管理ソフトウェア企業であるInterwovenは、カリフォルニア州サンフランシスコで同社の年次ユーザーカンファレンス「GearUp 2007」を開催した。
今回のカンファレンスの目玉は、3月に発表されたばかりの新ソリューション。新製品「Interwoven Targeting」を軸に、セグメンテーションと分析の機能を提供する仕組みだ。同社はこのソリューションによって、ウェブサイトの企画(Create)から制作(Deploy)、訪問者への配信(Deliver)、そして訪問者の行動分析(Analyze)へとつながるウェブコンテンツ管理を軸としたウェブマーケティングのクローズドループを実現しようとしている。
初日の基調講演で同社社長のMax Carnecchia氏は、「このソリューションを活用すれば、ユーザー企業は自社のウェブサイトを訪問者にとって常に使いやすいものにできる。導入後の改善活動においても、業務の効率性を高める仕組みを提供する」と話す。
ターゲティングと言えば、ドットコム全盛時代に「ワン・ツー・ワン・マーケティング」と共に出てきた言葉として覚えているかもしれない。だが、Interwovenの言うターゲティングは、これらのように独自のアルゴリズムを使ってユーザーニーズに合うとシステムが判断したウェブ画面を自動的に表示するものではない。これが、ウェブコンテンツ管理からのアプローチの面白いところだ。
ウェブコンテンツ管理ツールは、企業がウェブサイトにアップする情報を一元管理し、効率的な運用を実現することでウェブサイト制作にかかわる部門の業務効率化を支援するソリューションだ。ウェブサイトの戦略企画はマーケティング主導であることが多く、コンテンツの配信は、ユーザーニーズに合わせた自動化よりも、自社の戦略を重視する。
たとえば、物販サイトであれば、「この顧客に何が売れそうか」より、「特定の顧客セグメントに対して何を売りたいか」という要素が大切になるのだ。売りたい製品やサービスを企画し、顧客の反応をつかむ。初期の目標と結果を見比べながら、次の販売戦略を練る。こうした戦略ベースのマーケティングプロセスに適合するソリューションと言えるだろう。
「ターゲティングのベースとなる顧客データを取り込む仕組みは準備できている」(Carnecchia氏)
2日目の基調講演で同社CTO(最高技術責任者)のRafiq Mohammadi氏は、「SAPやOracle、Siebelなどで管理している顧客データ、そしてSASなどで高度に分析した結果をわれわれの提供するプラットフォームに集約し、ターゲティングに活用する仕組みは整えてある」と話している。
顧客データを集約し、マーケティング戦略を生かしたウェブサイトを作る。そして、訪問者の行動を分析し、次の戦略を立案する。リッチメディアを含むコンテンツと、業務プロセスを管理するプラットフォームはすでに提供しているため、戦略を実行に移すプロセスの作業負担を抑えることも可能だ。
今回のカンファレンスでは、米格安航空会社のJetBlue Airwaysがこの仕組みを使ってセグメント別のプロモーションを行ったことが報告された。同社は、売上の75%がオンライン販売であり、ユーザー行動を分析し、サイトの最適化を図ったところ、1日あたりのページビューは10〜20%増加。さらに、売上と利益が25%以上向上したという。