サンフランシスコ発--Microsoftとの特許契約で批判を浴びているNovellは米国時間5月23日、電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation:EFF)が進めている、紛らわしい特許と思われる案件に異議を申し立てる取り組みを支援する予定だと発表した。
NovellはEFFが特定の特許を無効にすることを目指して取り組んでいる「Patent Busting Project」に資金提供する予定だという。Novellの最高技術責任者(CTO)でオープンソース戦略の責任者も務めるNat Friedman氏が、当地で開催されたOpen Source Business Conferenceのインタビューで明らかにした。同氏によれば、Novellではさらに、特許制度の改革にも幅広く取り組み、オープンスタンダードの妨げとなっている問題を排除することを目指すという。
EFFのエグゼクティブディレクターShari Steele氏は「特許が革新の妨げにならぬよう、Novellがわれわれを支援してくれることになった」と述べ、「Novellは現在、私たちへの資金提供を進めている。(中略)Patent Bustingの取り組みを欧州にも展開することが、その目的だ」と付け加えた。EFFは欧州で弁護士を雇う予定という。
ソフトウェア特許はテクノロジ業界にとって厄介な問題である。LinuxディストリビューターRed Hatなどのようにソフトウェア特許に反対の立場を取ることが多い企業も含め、たくさんの企業がソフトウェア特許を取得している。しかし、オープンソースソフトウェアにおける共同作業と共有の原則は、排他的な権利を保障する特許システムに馴染まないことが多い。Novellは、世界中で500以上のソフトウェア特許を所有しているにも関わらず、この問題について明確なメッセージを送ろうとしている。
Friedman氏は「ソフトウェア特許は全体として利益よりも害になると、公に訴えている。ソフトウェア特許は革新を遅らせ、オープンスタンダードを足止めし、市場への新規参入者に恐るべき影響を与える可能性がある」と述べた。
NovellがMicrosoftと特許提携を結んだ2006年11月が転機だった。その提携でMicrosoftは、NovellのSUSE Linux Enterprise Serverのメンテナンスやサービスが受けられるクーポンを販売し、SUSE Linux Enterprise ServerないしはNovellブランドで提供されている製品を購入した顧客に自社の特許権を主張しないことを誓約した。Novellはオープンソース支持者からの批判(たとえばRed Hatの弁護士Mark Webbink氏はこの提携を「融和政策」と呼んだ)にさらされ、そのような特許取引を将来的に禁止できるオープンソースライセンスをつくる動きにもつながった。
Microsoftは先週、LinuxなどのオープンソースソフトウェアがMicrosoftの特許235件を侵害していると宣言して物議を醸したが、どの特許が該当するのかは明らかにしていない。
NovellのLinuxマーケティング部門ディレクターJustin Steinman氏は、Microsoftからクレームはなかったと述べ、Microsoftとの提携は正当であるとした。
同氏は「Linux内部に特許侵害がないとわれわれは主張するが、ユーザーはそんなことは知らないと言う。特許の心配をしたくないのだ。ユーザーは、誰か他の人が問題を解決してくれることを望んでいる」と述べた。
しかし、明確な批判がNovellの耳に入ったことは間違いない。
Friedman氏は「これまで6カ月の間、特許システムについていろいろと考えてきた、というのが率直なところだ」と述べた。EFFとの取引がNovellのイメージ復活に役立つことを望んでいるか尋ねられると「この取引で、私たちがNovellで考えていることや行っていることについて、ユーザーがより包括的な見方をしてくれることを望んでいる」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ