富士通は2月7日、SaaS(Software as a Service)事業を本格展開すると発表した。SaaSビジネスを開始したいと考えるパートナー企業に対し、富士通がデータセンターなどのSaaSプラットフォームを提供する。
SaaSを提供する企業としては、Salesforce.comなどがすでに市場でプレゼンスを高めているが、富士通の提供するサービスはインフラが中心となり、アプリケーションそのものはパートナー企業が提供する。富士通 経営執行役常務 サービスプロダクトビジネスグループ長の石田一雄氏も、「Salesforce.comと競合するものではない」と説明する。
石田氏は、「SaaSを開始するには、ハードウェアなどの初期投資はもちろん、最新テクノロジの習得やサポート体制、を整えるなど、さまざまな障壁が存在する。富士通では、こうした企業にインフラや技術支援を提供する」と説明した。実際にエンドユーザーにSaaSでアプリケーションを提供するのはパートナー企業となるため、「パートナーとの『共創』が大切だ」と石田氏は強調した。
現時点で富士通のSaaSビジネス提供に賛同している企業は、イリイ、エス・エス・ジェイ、応研、オービックビジネスコンサルタント、きっとエイエスピー、クレオ、サイボウズ、ソフトクリエイト、ピー・シー・エー、マイクロソフト、弥生の11社。
ただし、これらの企業がすぐに富士通のSaaSプラットフォームを利用して自社アプリケーションをSaaS展開するかどうかは、各企業の判断に委ねられている。石田氏は、「パートナー企業も従来のライセンスモデルが念頭にあるため、SaaSで安価にアプリケーションを提供することに抵抗感のある企業も多い」と話す。ただ、富士通自身も自社のERPアプリケーション「GLOVIA」をSaaSで提供することを視野に入れ、「自ら新しいモデルを提供する意識を持って市場を開拓する」(石田氏)としている。
富士通は、今後SaaS分野の売上を年率30%成長させ、3年間で1300億円の売上を達成したいとしている。