Microsoftは、同社が支持するOffice Open XML(OOXML)ファイル形式の国際標準化機構(ISO)標準承認に向けてさまざまな行動を起こした。だが、この件において同社がデスクトップ用ソフトウェア市場の独占状態を不正に利用しなかったかどうか、欧州の独占禁止規制当局が調査を行っているようだ。
欧州委員会の独占禁止規制当局は欧州の数カ国に対して質問状を送付し、標準化承認プロセスの実態を照会していたことが、明らかになったのだ。照会を行ったことは、欧州委員会の広報担当者が現地時間4月2日に認めている。
調査は今も続けられていると、この広報担当は付け加えた。
今回の調査は、Microsoftの動きに反対する業界団体、European Committee for Interoperable Systems(ECIS)による申し立てを受けて行われているものだ。欧州委員会は1月、OOXMLファイル形式が競合他社製品との相互運用性を十分に確保しているかどうか、調査を開始すると発表していた。
また、Wall Street Journalは米国時間2月8日付の記事で、この調査が始まったことを伝えている。
CNET News.comが内容を確認した質問状の中で、欧州の規制当局はノルウェーの標準化団体Standards Norgeに対し、同国での標準化承認プロセスに関する詳細を尋ねていた。欧州委員会はとくに、標準化提案の議論や投票に影響を与えるような働きかけに関する情報を求めているようだ。
これに対してStandards Norgeは、はげしい議論はあったものの「われわれのプロセスを脅かすような不適切な行為」はまったくなかったと回答していたと、CNET News.comが確認した資料にはある。
OOXMLは、Microsoft Officeドキュメントを閲覧および作成する際に用いられる、プログラム内部の仕組みを記述した技術仕様だ。Microsoftは2005年にOOXMLの標準化への取り組みを開始したが、その狙いは、標準化された仕様に基づいたソフトウェアを優先して採用する政府系の顧客にアピールするとともに、サードパーティ製品との相互運用性を高めることにある。
ISOは4月2日、OOXMLが標準として承認を得る上で必要な数の票を獲得したと発表した。
欧州委員会がStandards Norgeに対して質問状を送付したのは2月で、この時にはまだISOの投票結果は発表されていなかった。今回のOOXML承認は、標準承認を得られなかった2007年9月の結果を覆すものとなった。
OOXMLを推進するMicrosoftとOOXMLの標準化に反対するIBMは、双方のパートナー企業も巻き込んで、各国の標準化団体から派遣された投票権をもつ代表者たちを自らの陣営に取り込もうと、強烈なロビー活動を展開していた。
中には、OOXMLを推進するMicrosoft寄りの立場を取る人々がプロセスの後半になって標準化団体に加わったケースもあったと、Microsoftに反対する人たちからは抗議が起こっている。