マイクロソフト主催の学生技術コンテスト、日本代表は同志社大学のチームに

藤本京子(編集部)

2008-04-28 14:20

 マイクロソフトは4月27日、情報通信技術を活用した学生を対象とする人材育成支援イベント「The Student Day 2008」を開催した。The Student Dayは、世界規模のIT技術コンテスト「Imagine Cup」の日本代表チームを決定する選考会も兼ねている。

 2008年のImagine Cupのテーマは「環境保護」。このテーマに基づき、最終選考に残ったチームがプレゼンテーションを行った。最終選考に残ったのは、同志社大学の松下知明氏、加藤宏樹氏、清水誠氏、中島申詞氏の4名からなる「NISLab」、国際情報科学芸術アカデミーの三浦剛史氏、浅野哲也氏、松浦星太氏、村木優貴氏の4名からなる「IAMAS」、東京大学大学院の足立博氏、渡邊徹志氏、北陸先端科学技術大学院大学の岡本道明氏の3名からなる「Team EMET」の3チームだ。

加藤氏 NISLabの加藤宏樹氏。プレゼンテーションのタイムリミットは10分間で、残り時間を表示する時計が設置されている。

 この中から日本代表に選ばれたのはNISLabだ。NISLabが発表した作品は、グローバル消費電力管理システム「ECOGRID」。これは、人々が協力して家庭の消費電力を削減するという目的で作られたシステムだ。同システムに登録された家庭の消費電力は地図上に表示されており、標準以上に電力を使っている家庭は赤色に、標準以内の家庭は青色になっている。ユーザーは、遠隔操作可能な家電機器を登録でき、ネットワーク内のユーザーであれば誰でも遠隔操作で電源を消すことが可能だ。「これまでにも遠隔操作で電源制御できるシステムはあったが、人々が協力してネットワーク内にある無駄な電源を誰でも遠隔操作可能とすることで、世界規模でより多くの電力削減ができる」と、同志社大学の加藤氏は説明する。

 2位に選ばれたのはIAMASの作品で、ごみ問題解決のためのウェブサイト「Reco」。これは、ごみ問題で課題となる「Reduce(削減)」「Reuse(再使用)」「Recycle(再利用)」の「3R」に焦点を置いたサイトだ。「商品ページ」で商品のリサイクル性などの情報を共有し、将来的にごみとなりうる商品の過剰購入削減を目指し、「出品ページ」で不要となった品物の取り引きをする。また、「地域ページ」では、地域のごみ回収スケジュールや分別区分などが登録できるようになっている。

 3位となったTeam EMETの作品は、地図情報に時間軸を付与したシステム「moQmo」だ。地図と時間を組み合わせることで、特定の時間帯の特定の場所の状況を知ることができる。その「活動地図」から電車の混雑状態や車の渋滞情報を得、無駄な二酸化炭素の削減を目指すというシステムだ。

 代表チームの選考は非常に困難で、わずかな差での順位付けとなったとどの審査員も口をそろえたが、審査員の1人で、過去に3年連続で日本代表チームの一員としてImagine Cupに挑戦した経験を持つ東京大学 知の構造化センター 特任教授の中山浩太郎氏は、「どのチームのプレゼンテーションも完成度が高くて非常に面白かったが、世界大会経験者としては、世界大会で通用するか、本当に実社会で使えるかを考えて採点した。世界大会ではもっと質の高い作品が出てくるので、7月の世界大会に向けてもっとがんばってほしい」と述べた。

 今回の大会では、マイクロソフト初の取り組みとして、ITベンチャー企業が学生チームのメンターとなって支援する「学生メンタープログラム」を取り入れた。NISLabのメンターとなったのはKnowlbo。Knowlbo 代表取締役の斉藤友男氏は、「プレゼンテーションが重要だと感じ、そのシナリオ作りを中心にアドバイスした」と話す。支援を受けた学生の加藤氏は「企業からの支援を得る機会はあまりないため、とてもありがたかった」と述べ、松下氏は「社会に通じるよう、第三者の視点でアドバイスがもらえたのがよかった」と話した。

Student Day 日本代表に選ばれた同志社大学のNISLab。左から、加藤宏樹氏、松下知明氏、清水誠氏、中島申詞氏。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  3. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  4. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

  5. ビジネスアプリケーション

    カスタマーサポート業務で生成AIはどう使えるか、代表的な活用場面を解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]