シマンテックはスケールアウト型NAS制御ソフトウェア「Symantec FileStore」を7月26日から提供する。同ソフトウェアは2009年10月に米国で発表され、欧米市場で展開されている。日本市場では、富士通のIAサーバ「PRIMERGY」とストレージシステム「ETERNUS」に搭載するアプライアンスソフトウェアの形で提供される。最小構成価格は2ノード用基本ライセンスで126万7800円となっている。
今回のFileStoreは、16ノードまで拡張でき、クラスタ構成を取ることができる。1クラスタ構成で最大2ペタバイト(PB)までのストレージ容量をサポートする。ノードやストレージを追加する際には、追加した分だけの性能が拡張できることから、リニアに近いスケーラビリティを発揮できるとしている。クライアントからのプロトコルはNFSとCIFSに対応する。ストレージとの接続方法はFC-SAN、iSCSI、SAS、SCSIをサポートする。主要メーカーのストレージもサポートしている。データ保護の機能としては、レプリケーションやスナップショットなどを搭載する。
シマンテックの朝倉英夫氏(プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャ)は、今回のFileStoreには「シマンテックのさまざまなテクノロジーがベースになっている」という。「クラスタ構成が前提」(朝倉氏)というFileStoreには、共有ファイルシステムとして「Veritas Cluster File System」、オンラインストレージ管理機能として「Veritas Cluster Volume Manager」、フェールオーバ機能として「Veritas Cluster Server」、バックアップやリカバリの機能として「Symantec NetBackup」、ウイルス対策として「Symantec Endpoint Protection」が組み込まれる。クライアントバックアップやウイルス対策モジュールは自動でインストールされるが、ライセンスを別途購入する必要がある。
またFileStoreではクラウドコンピューティングへの移行にも対応すると朝倉氏は説明する。2PBまでのストレージ容量をサポートすることに加えて、「Dynamic Storage Tiering」と呼ばれる機能も搭載する。この機能は、データをライフサイクルの視点からどう管理していくかを制御するもので、頻繁にアクセスするデータと最初の1回だけアクセスするデータを階層的に分ける機能だ。
朝倉氏は、FileStoreを活用できる企業の例として、ブログなどのWeb 2.0系ネットサービスを展開する企業、デジタルコンテンツなどを大量にストックするメディア、エンターテインメント企業を挙げている。また、電子化されたレントゲン画像などの医療イメージ処理にもFileStoreが向いていると説明している。
先月シマンテック代表取締役社長に就任した河村浩明氏は、現在企業が抱えるデータの約95%が、データベースに格納される構造化データではなく、メールやドキュメントなどの非構造化データという実態を紹介。IDC Japanの2009年8月の調査によれば、2008〜2013年の5年間で平均72.3%の成長率でデータは増加していき、2013年には2008年の約15倍の約3144PBになると予想されているという。
河村氏は、FileStoreが、増加し続ける非構造化データの管理を効率的に行えると、メリットを強調している。「FileStoreは、ノードやストレージを拡張すれば、スケーラブルに性能を拡張できるというメリットがある。運用効率も従来より向上させられる。また、市販されている主要なストレージをサポートしていることから、ストレージの費用も最小化できる」と説明している。