OSより下のレイヤでもプレゼンスを発揮したいオラクルの戦略

田中好伸 (編集部)

2011-10-19 12:44

 データベースやアプリケーションでは大きなプレゼンスを発揮するOracleだが、ことOSより下のレイヤではそれほどの存在感を示すことができていない。Red HatやVMwareといった競合に負けないためにはどうすべきか――。日本オラクルは先週からLinuxカーネル「Unbreakable Enterprise Kernel」とハイパーバイザの新版「Oracle VM 3.0」の国内提供を開始した。

Linuxコミュニティと融合

 Unbreakable Enterprise Kernelは、Oracleが開発、検証で使用しているLinuxディストリビューション「Oracle Linux」の標準カーネル。会見で米OracleのChief Corporate Architectを務めるEdward Screven氏はUnbreakable Enterprise Kernelについて「高速であり、信頼性が高い。データベースなどのミドルウェア、アプリケーションなどのOracle製ソフトウェアへの最適化が加えられている」とその特長を説明する。

 Unbreakable Enterprise KernelはOracle Linuxの標準カーネルだが、Red Hat互換カーネルを選択することもできる。Unbreakable Enterprise KernelはRed Hat互換カーネルと比較して、75%速いパフォーマンスを記録しているという。現在Unbreakable Enterprise Kernelは、CPUのコア数にして4096、メモリにして2Tバイトまでの大規模システムをサポートできる。機能面でも、ハードウェアの故障管理とデータ整合性機能でデータの破損を防止できるとしている。

写真 Oracle OpenWorld 2011の3日目となる10月4日に基調講演をするEdward Screven氏

 「OracleとLinuxコミュニティで機能強化を融合した」(Screven氏)というUnbreakable Enterprise Kernelは日本国内での提供が始まったが、グローバルでは、その新版となる「Unbreakable Enterprise Kernel Release 2」の提供も始まっている。新版は「より高速な処理が可能になっている」という。高速性の点では、大量のスレッドを生成するアプリケーション向けにスケジューラが改良されるとともに、CPU間をまたいだパケット制御の遅延をより低いものにしている。

Solarisからヒント

 新機構として「Linuxコンテナ」が搭載されている。これは「Solaris」に搭載されていたコンテナにヒントを得たものだ。Solarisコンテナは、1つの物理マシン上に仮想の実行環境を構成し、それぞれの実行環境は独立していることから、物理的に分散していたサービスの運用や管理を1つのマシンに統合できることが大きなメリットになっている。Release 2に搭載されるLinuxコンテナでは「オーバーヘッドが低くなるとともに、リソース管理もできるようになっている」(Screven氏)という。

 Release 2には「仮想スイッチ」と「DTrace」も新機構として搭載されている。仮想スイッチを活用すると、VLANを分離できるようになり、サービス品質制御(QoS)の管理を自動化することも可能だ。

 DTrace(Dynamic Trace)もまたSolarisからヒントを得たものであり、カーネルの挙動を追尾する機構だ。システムが障害を起こしてクラッシュしたり、アプリケーションが異常終了してコアダンプしたりする場合に、ダンプファイルから直前の状態を解析することが重要だ。

 こうした事態で、稼働中のドライバやアプリケーションから応答がなかったり、CPUの稼働率やメモリの使用量が異常に高い場合など、状況をリアルタイムに知ることができるのがDTraceだ。このDTraceは、ミッションクリティカルなシステムには必要不可欠とされていた機構であり、当時Solarisに搭載された頃は大きな注目を集めていた。

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