ソフトバンクモバイルは通信事業やコンテンツサービス事業の情報分析基盤を「Oracle Exadata Database Machine」で刷新している。刷新完了時点では3ラックだったが、現在は7ラックで稼働させている。
同社で取締役専務執行役員兼情報セキュリティ管理責任者(CISO)を務める阿多親市氏は、グループ企業であるソフトバンクテレコムとソフトバンクBBの取締役専務執行役員兼CISOも務める。阿多氏は米Oracleのプライベートイベント「Oracle OpenWorld 2011」の中で「CIO of the Year」の1人に選ばれている。
2000年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)の代表取締役社長に就任した阿多氏は、2003年にソフトバンクBBに入社。その後、ソフトバンクがVodafoneから携帯電話事業を買収した後に、阿多氏はソフトバンクモバイルとソフトバンクテレコム、ソフトバンクBBという通信3社の情報システム部門を一体化する取り組みを始めている。その取り組みの中で阿多氏はソフトバンクモバイルの情報分析基盤の課題を見いだしたという。

同社の情報分析基盤には、データウェアハウス(DWH)大手のものを活用していたが、契約者数の増加とコンテンツサービスの拡充で、1日あたりのトランザクション数は数十億件を超えていたという。そのDWHだと「キャパシティを増加させないといけなくなってきていた」としている。
2006年当時、3G携帯電話が増加し始めた時期であり、契約者の「振る舞いが変わることが予想されていただけに、このままではいけない」と認識していた。キャパシティを増加させるために「DWHを半年に1回増設していた」という。
「このまま増設していたら今後どうなるのか。またその分析スピードが遅いために、今日のものが今日中に終わらないという事態もあった」(阿多氏)
2008年春頃から情報分析基盤に危機感を感じていた阿多氏は、日本国内での販売が始まったExadataの存在を知り、2009年3月に情報分析基盤をExadataで刷新することを決定している。
2008年9月に開催された「Oracle OpenWorld 2008」で発表されたExadataだが、ソフトバンクモバイルが採用を決定した2009年3月時点ではまだ未知数の存在だったと指摘できる。2009年7月から導入プロジェクトを開始し、Exadataがソフトバンクモバイルの新情報分析基盤として稼働を始めたのが2010年5月のことだ。
以前の情報分析基盤は36ラックのDWHで構成されていたが、それがExadata3ラックで構成されている。こうした事態は業界内外で注目を集めるようになったことは想像に難くない。設置面積が劇的に減少しただけではなく、その処理性能は「8倍にも向上できた」という。
ソフトバンクモバイルの契約者数も順調に増加を続け、現在の通信明細データ(CDR)は1日あたり10億件、1日あたりのネットアクセス数は42億~43億件程度にまでデータが増加しているという。そうした分析対象の増加に伴い、Exadataは7ラックまで増設されるようになっている。
Exadataの積極活用を進める阿多氏は、今後情報分析基盤で「どの端末がどのような振る舞いをするのかを分析できるようにしたい」とコメントしている。