データベース(DB)専用機「Oracle Exadata Database Machine」、アプリケーションサーバ専用機「Oracle Exalogic Elastic Cloud」に続くExaシリーズの第3弾となるビジネスインテリジェンス(BI)専用機「Oracle Exalytics Business Intelligence Machine」が発表された。Oracle開催のイベント「Oracle OpenWorld 2011」の10月2日の基調講演で最高経営責任者(CEO)のLarry Ellison氏が発表した。
ExadataとExalogic、そして今回のExalyticsはいずれも、特定の目的のためにハードウェアとソフトウェアを一体化して製品を開発するというOracle独自の開発コンセプト“Engineered System”に基づいている。
BI分野では現在、インメモリ型が注目されつつあるが、今回のExalyticsではOracleのインメモリRDBMS「Oracle Times Ten In-Memory Database」をExalytics用により高速処理するために、並列処理が展開できるよう最適化している。ExalyticsはBIアプリケーション「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition(BIEE)」と多次元分析ツール「Oracle Essbase」を含むBI関連ソフトウェアとして「Oracle BI Foundation」を搭載。BIEEとEssbaseもExalytics用に並列処理ができるように最適化されている。
Exalyticsのハードウェア構成は、1Tバイトのメモリと40コアのXeon E7 4800プロセッサを搭載するSun Fireサーバ。1~10GbpsのEthernetと40GbpsのInfiniBandも搭載している。InfiniBandはBIのデータを格納するデータウェアハウスとしてExadataとの連携でより高速な処理を展開するためのものだ。
Exalyticsは構造化データだけでなく、非構造化データの分析も有効だという。Ellison氏は「非構造化データも圧縮してメモリの上で分析できる」ことで、高速な分析が可能になると説明している。
既存のBIツールとExalyticsを比較して「12倍もの速度で分析できる」とEllison氏は、その性能を高さを強調。Exalyticsで並列処理用に最適化されたEssbaseを活用すれば、多くのユーザーが同時に多次元分析(MOLAP)した場合、同時接続ユーザー120人でも「既存BIツールの5倍以上の速度で分析することができる」(Ellison氏)と、その性能が他社製品よりも有利であることも強調している。
Oracleの説明によると、他社製品との比較では、リレーショナル分析(ROLAP)のレポーティングやダッシュボード機能で最大20倍以上の機能向上、MOLAPのモデリング機能では最大79倍もの機能向上が達成できたとしている。
インメモリや並列処理などの技術を上手く最適化することで、既存BIツールよりもExalyticsの機能を向上することを目指した。それにより、エンドユーザーがさまざまなグラフやチャートなどを分析していく、データが可視化され、視覚的な分かりやすさでインタラクティブに分析することで「考えた瞬間に結果が出る」(Ellison氏)ことも可能だという。
Exadataとの連携で大きな効果が出ると説明されるExalyticsだが、異種混在での利用も想定している。Oracle製品だけではなくて、IBMやMicrosoft、Netezza、SAP、TeradataなどのRDBMSや非構造化データにもアクセスして分析できることも強調している。