2003年12月に開始されたプロジェクトに、2004年10月に韓国からHaansoftが加わることになる。これは、「北東アジアOSS推進フォーラム」のイベントで同社を紹介されたことがきっかけになっている。
吉岡氏によれば、Asianuxではうまくシナジー効果を出せているという。
「三者三様で強いところが違うんですね。日本のミラクルにはカーネルハッカーがいるという強みがあるし、品質を向上させるという意識が高い。中国のRed Flagはデスクトップ分野というか表示系の機能に強い。韓国のHaansoftはアプリケーション開発でのレベルが高い。加えて政府系に多くソフトを導入しているという強みもある」
このAsianuxのコミュニケーションでまず課題とされたのが、「共通の言語をどうするか」ということだった。ここで選択されたのが英語という解決策だ。
「片言でもいいから、それぞれの母国語ではない英語で話すことに決めました。全員片言だから、自分の言いたいことが相手にうまく伝わっていないことがよくわかります。それだけに、伝わっているかどうかを常に確認せざるを得ない。しかし、それがかえって、コミュニケーションを増やすことになりました。もし、仮に共通言語を日本語にしていたら、通訳を介することになります。そうしたら、後の工程で理解不足が原因となった問題が発覚するという事態になっていたと思います」(同氏)
Asianuxでのコミュニケーションは、プロジェクトの進め方という点で非常に参考できるものだ。コミュニケーション不足に起因した相互の誤解、その誤解から来る工程の手戻りといった事態を未然に防ごうとしているのである。Asianuxでは、それぞれが話す言語が違うという事実をまず認めたうえで、相手が言いたいことを常に確認しあうようにした。
企業内でのプロジェクトでは、同じ日本語を話す、同じ会社にいるということだけで、自分が言いたいことが伝わっているだろうと思いがちだ。しかし、実際には、同じ言葉で会話していても、思っていることは同じではなく、後々誤解や思い違いが生じることになる。誤解や思い違いをどれだけ減らせるかで、プロジェクトの成否が大きく変わってくるということは、お分かりだろう。
さらにAsianuxでは互いが対等という意識で進められている。
「この数年で、日本企業は中国やインドをオフショア開発としていますが、そこでの関係は“元請けと下請け”という関係です。しかし、Asianuxではお互いが対等の関係で進めています。これも大きな成功要因になっていると思います」(同氏)
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