Steve Ballmer氏が、MicrosoftがLinuxに対し繰り返してきた特許関連の脅し文句を再び口にし、オープンソースベンダーに同社の知的財産を尊重するよう警告した。
米国時間2月15日、ニューヨークの財務アナリストを前に行ったこの厳しい演説の中で、Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるBallmer氏は、2006年11月にNovellと提携を結んだという事実が、「オープンソース界においても知的財産に価値があることを明確に示している」と語った。
こうした販売協力体制の下、Microsoftは同社製品とオープンソースソフトウェアの混在する環境を望む顧客に、「SUSE Linux」の利用を提唱していくことになっている。同提携には「特許協力契約」も含まれており、MicrosoftとNovellは特許侵害に関して互いを訴えないと同意している。
オープンソースユーザーに対する明らかな脅しの意味を込めて、Ballmer氏はオープンソースは「自由に利用できるものではない」という主張を繰り返し、MicrosoftがLinux販売企業を提訴する可能性を示唆した。Microsoftはこれまでも、Linuxオペレーティングシステムが同社の知的財産の一部を侵害していると指摘してきたが、問題となる特許の詳細は公表したことがない。
「Novellとの提携によって、われわれが付加的な利益を得られるとは考えていない。しかし、オープンソースだからといって自由に利用してよいわけではなく、オープンソース企業もほかの競合社と同様に他社の知的財産を尊重する必要があるというメッセージは伝わったと思っている」(Ballmer氏)
「オープンソースとの競争によって、製品の価格設定が難しくなっているという考えを否定するつもりはない。われわれの製品はオープンソースより高価だが、価値もまた高いのである」(Ballmer氏)
Ballmer氏は知的財産をめぐる脅威のほかに、Linuxベンダーとの競争において大企業顧客との契約を勝ち取ることについても強気の姿勢を見せた。
Ballmer氏はアナリストらに、「Microsoftはデスクトップおよびサーバ分野で、Linuxを圧倒してきた。来年には、ウェブサーバや高パフォーマンスクラスタといった分野でも、Linuxからシェアを奪いたいと切望している」と話した。
もっとも、Red HatのCEOを務めるMatthew Szulik氏は、こうした流れに好感を抱かなかったようだ。Szulik氏は米国時間2月19日に開催されたMerrill Lynchのカンファレンスで、MicrosoftとNovellの提携によって配布されたオープンソースクーポンを早々に使い切るよう促した。これらのクーポンを使うと、Novellの「SUSE Linux Enterprise Server」のサポートおよびメンテナンスが受けられる。
「ユーザーがこうしたクーポンを使い切るといったケースも出てくると確信している。実際に、一部の顧客にはクーポンをすべて使うようにとアドバイスしている」(Szulik氏)
Microsoftは、Novellとの5カ年提携契約の一環として毎年7万件のオープンソースクーポンを提供することになっているが、2007年1月の時点ですでに3万5000件を販売したという。
MicrosoftとNovellが協力して実現した、プロプライエタリおよびオープンソースの混在インフラストラクチャを利用している企業には、Deutsche BankやCredit Suisse Group、American International Groupなどがある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ