Novellの最高経営責任者(CEO)であるRon Hovsepian氏は、Linux業界がベンダー中立の立場でアプリケーション開発用標準を策定しない限り、UNIXをだめにしたのと同じ分断化に直面するだろうと述べている。
Ron Hovsepian氏は米国時間8月8日、LinuxWorldのMoscone Center会場を埋めた満員の聴衆を前にして、Linux Standards Base(LSB)は出発点としては優れているが、それだけでは十分ではないと述べた。同氏は、Linuxの分断化を防ぎ、MicrosoftがWindowsのために作り上げたようなコミュニティをISV(独立系ソフトウェアベンダー)向けに構築するために、標準Linuxの認証制度が必要だと述べた。
Hovsepian氏は「UNIXでは、アプリケーションの分断化が起こっているものの、われわれが現時点で一番必要としているのはアプリケーションだ。われわれは、顧客やISVにLinuxプラットフォームを利用してもらわなければならない」と述べ、「競合やWindowsに目を向ければ、彼らにとっての最大の強みは提供可能なアプリケーションだとわかる」と付け加えた。
Linuxディストリビューションは、プラットフォームの一貫性が確立されるまで拡大されないだろう。いったんISVが彼らのアプリケーションに対する認証を取得すれば、それを複数のLinuxディストリビューション間でシームレスに移植できるようになるというのが理想だ。そうなればベンダーもメリットを得られる。アプリケーションや顧客にとって市場がより広がるのだ」(Hovsepian氏)。
そして、NovellがMicrosoftと2006年にプロプライエタリなソフトウェアとの相互運用性協定を結んだことを受けて、オープンソースコミュニティと同社との間に醜い争いが起こったにもかかわらず、Hovsepian氏はFree Software Foundation(FSF)とその雄弁な顧問弁護士であるEben Moglen氏に対して、GNU General Public License(GPL)の策定と普及、そしてより気を遣って、GPL3の最終バージョンにおいてNovellとMicrosoftの協定を認めてくれたことに関して感謝の意を表した。
Hovsepian氏によれば、SUSE Linuxを利用している顧客がMicrosoftから入手し、Novellで使用するクーポンはGPLに違反しておらず、Microsoftは自らを「契約の当事者である」とは考えていないという。
「(彼らの貢献がなければ)Linuxは現在の地位を築けていなかっただろう。GPLに対する彼らの貢献に感謝し、称賛の言葉を贈りたい。(SUSE Linux Enterprise Serverの)パッケージが準備でき次第、われわれはGPL3(にのっとったそれらのパッケージ)を出荷する予定だ」(Hovsepian氏)
Hovsepian氏はこの話の続きとして、OracleがLinuxディストリビューションのサポート市場に--Novellの競合であるRed Hatの派生ディストリビューションに対して--参入したことや、MicrosoftがLinuxディストリビューターのLinspireやXandrosとも協定を結んだことさえも含めて、プロプライエタリなソフトウェア企業がLinux業界に参入したことを称賛した。
Hovsepian氏は、顧客のニーズを満足させるためには、悪魔と契約を結ばなければならない時もあると示唆した。同氏は「われわれは、20年もMicrosoftと闘ってきたが、顧客のオフィスに行ってみれば(プロプライエタリなソフトウェアとオープンソースソフトウェアが混在している環境[ミックスドソース環境]が)広がっているというのが現実だ」と述べた。
同氏は、「Microsoftは、ミックスドソース環境における現実だ」と述べるとともに、「われわれのパートナーの開発モデルの進化を見てきているし、顧客がソフトウェアの真の価値に注力できるミックスドソース環境もより見かけるようになってきた。そして真の価値は、ソフトウェアがいかに連携するかということなのだ」とも述べた。
Hovsepian氏は、NovellはOpenDocumentに対するサポートを継続しており、OpenXMLに移行することはないと主張した。移行するのではなく、Novellは顧客に対して、Microsoft Officeとの溝を埋めるためのOpenXML用トランスレータを提供しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ