レッドハットは11月30日、同社のテレコム市場に向けた取り組みの説明会を開催した。同社は、6月にオープンソースのVoIPミドルウェアプラットフォームとなるMobicentsを買収しており、Mobicentsを同社のテレコムアプリケーション基盤「JBoss Communications Platform」の中に組み入れる。
JBoss Communications Platformは、JSLEE(Java Service Logic Excution Environment)に準拠したテレコムアプリケーション基盤。J2EE(Java 2 Enterprise Edition)を補完して、音声やビデオ、データを集約、IPと電話網の連携を実現する。コンテンツ配信などを組み合わせた新しいアプリケーションサービスが可能で、JBoss Enterprise Application Platformの機能として動作する。
「JBoss Communications Platformのコア機能は3つある」と説明するのは、Red Hat テレコム市場マーケティング担当ディレクターのTom Wunderlich氏だ。その機能とは、J2EEとJSLEEの環境を統合し、さまざまなネットワークとデバイス上で、音声、ビデオ、データを癒合するアプリケーションを開発、管理できること、通信網の各種サービスやリソースが連携できること、他システムとのAPI連携ができることだ。
レッドハット マーケティング&パートナービジネス統括本部長の纐纈昌嗣氏は、「コンピュータ網と電話網が収束すれば、例えばPCに表示されている電話番号をクリックして相手にすぐ電話をかけるといったことや、PC操作で音楽を自動的に自分の携帯電話に配信することも可能になるだろう。また、携帯電話に付随するGPS機能でロケーション情報を活用し、宅配便などの集配指示が、依頼者の住所に近い担当者に行くようにすることもできる」と話す。
JBoss Communications Platformはすでにさまざまな導入事例がある。例えばPortugal Telecomでは、インスタントメッセージとVoIPサービスの融合や、電話の転送、ボイスメールといったアドオンサービスに使われており、FirstHandTech.comではWi-Fiと携帯電話のネットワーク統合に、D2seeではモバイルビデオ配信サービスにて採用されている。
Wunderlich氏は、「商用製品と同等以上の機能を低コストで提供できる。また、オープンソースモデルで開発しているため、技術革新が推進され、新機能が迅速に導入できる」とJBoss Communications Platformをアピールした。