VMごとにパフォーマンスを可視化し性能を割り当て
このようにしてティントリはQoSの自動化を実現しているのだが、IOPSを単位として手動でリソースを割り当てることもできる。各VMに対するストレージI/Oリソースに対する上限はもちろんのこと下限も管理画面から指定することができる。ノイジーネイバーが発生した場合でも、ノイジーネイバー側のI/Oを自動的に制限し、各VMへのI/Oリソースが下限値を割ることがないよう制御しているのだ。こうした制御により、同社のストレージは「VM単位のパフォーマンス保証」を実現している。
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ティントリ製品のVM単位のパフォーマンス保証は、サーバー以上にVM数が集約されがちな仮想デスクトップ環境においても実績がある。例えば、株式会社NTTネオメイトが提供する仮想デスクトップサービス「AQStage 仮想デスクトップ」では、スタンダードプランでは1VMあたり20IOPSのディスク性能を確保し、より高いIOPS設定に対しては追加料金で対応するといった内容となっている。これは、下限値を設定することのできるティントリの技術を活用することにより、SLAで定めたパフォーマンスを提供できるようにしている。例えばそれぞれの仮想デスクトップでウィルススキャンが始まった際に、日常業務のアプリケーションが急激に遅くなることがあるが、このIOPS下限値設定をしておくことで、快適に業務を続けることができる。
フラッシュの効率化による高パフォーマンスの実現
では、ティントリのパフォーマンス保証を支えるフラッシュストレージはどのように高い性能を発揮し続けることができるのか。フラッシュの読み書きの構造について最後に概略を説明しておこう。
高いパフォーマンスを維持するためには、ストレージ自体に充分なI/Oスループットの余力が必要だ。ティントリでは長期的に安定して提供できるI/Oスループットを各モデルに設定しており、同程度のディスク構成のストレージに比べて格段に高いI/Oスループットを実現している。
この高いI/Oスループットを実現しているのがフラッシュへの書き込みの仕組みだ。実は、一般的なハイブリッドストレージはSSDをリードキャッシュの形で使っているため、キャッシュヒット率があまり高くない。しかしティントリでは、全てのIOを高速なSSDに書き込むようにしており、アクセス頻度の低いデータブロックのみをHDDに移行するアーキテクチャーとなっている。そのため、書き込まれた直後の"ホットな"データが確実にフラッシュヒットするのである。
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このように、ティントリは既存のストレージとは異なる仮想化環境を前提としたアーキテクチャーを採用している。ストレージのノイジーネイバー問題を解決したい、VM 単位のサービス品質を確保したいといったニーズに適した製品だと言える。