マイクロソフトは8月13日、医療機関向けの院内業務効率化や安全性向上などのソリューションを拡充し、地域医療サービスの質の向上支援を目的とした「地域医療連携ソリューション」の推進を加速すると発表した。その第1弾として、国家公務員共済組合連合会立川病院(立川病院)が同ソリューションの採用を決定し、運用を開始したとしている。
マイクロソフトの地域医療連携ソリューションは、医療機関のニーズにあわせた情報システムに対応し、電子カルテシステムやオーダリングシステムに縛られないオープンな情報システム環境を提供するというもの。医療機関の情報システムで利用されている業界標準技術「HL7」や、XML、CSVなどシステムごとに異なる固有のフォーマットとも連携するという。また、マイクロソフトの技術とインターネットを活用することで、クラウドへの移行や制度の変更、連携する医療機関の追加などにも対応できるほか、専用ソフトを活用した従来の地域医療連携ソリューションと同等のセキュリティやサービスレベルを提供し、従来のパッケージシステムより20%〜30%のコスト削減が可能だとしている。
今回地域医療連携ソリューションを導入した立川病院では、かねてより連携先医療機関から「紹介患者の診療情報や検査結果情報をより早く確実に提供してほしい」といった要望を受けていた。この要望を満たし、セキュリティを確保しつつ連携先医療機関にとって負担にならない解決策として、同ソリューションを採用したという。ソリューションの構築パートナーは、JFEシステムズ、ストローハット、東芝メディカルシステムズの3社。立川病院は、同ソリューションで2010年内に20機関、2012年内には60〜100機関と連携することを目指している。
同ソリューションの導入により、立川病院は連携する医療機関と患者の医療情報のデータを自動的に共有できるようになった。これまで紹介された患者の検査結果を入手するのに平均3〜4日、複数検査の場合は約3週間かかっていたが、ソリューション導入後は、PCやブラウザ上で検査の翌日には結果を参照できるようになったという。立川病院と連携する医療機関側は、インターネット接続回線とPCさえあれば、特別な初期投資は不要で運用後のサービス使用料も発生しない。なお、セキュリティ面においては、患者基本情報などの個人情報がデータとして利用者側に渡らないよう、USBメモリなどの外部デバイス使用や、画面のスクリーンショット保存機能、印刷操作に制限を設けるなどの対策がとられている。
マイクロソフトは、パートナー企業との連携により、クラウドの活用を見据えながら2012年までに30機関への同ソリューションの導入を目指すとしている。