千趣会は8月23日、同社が運営する総合オンラインショップ「ベルメゾンネット」で、日本IBMのクラウドサービス「IBMマネージド・クラウド・コンピューティング・サービス(IBM MCCS)」を活用すると発表した。ベルメゾンネットは、6月からクラウドコンピューティング環境への移行を開始しており、8月より新環境でサービスを提供する。
ベルメゾンネットのインターネット会員数は、2009年度に約664万人に達し、売上も千趣会の全売上の過半を占めるという。また、女性向け衣料とインテリア雑貨が主力商品であることから、5月や9月などの衣替えの時期には、他の月に比べて2倍以上のアクセスが発生するなど、季節変動やキャンペーン時には一時的にアクセスが集中するといったサイト特性があるという。そこで千趣会では、ベルメゾンネット利用者の利便性向上と、ITコスト削減を目的に、柔軟性、拡張性、価格などの要件から総合的にクラウドサービスを検討し、IBM MCCSの採用を決定したという。
IBM MCCSは、日本IBMのデータセンターからネットワーク経由でメモリーやCPUなどのIT資源を従量課金制で提供するクラウドサービス。処理する業務の量に応じて基本使用量を随時設定でき、業務量の増加に応じて設定した基本使用量の最大4倍まで自動的にIT資源を増加させることができるという。そのため、アクセス件数の増加が見込まれる月だけ基本使用量を多く設定することで、IT投資の最適化が図れると共に、キャンペーン時の一時的なアクセス集中の際でも自動的にIT資源が増加するため、会員はレスポンスの悪化などを感じることなく、ストレスのないショッピングを楽しめるとしている。また、IBM MCCSは、IBMのデータセンター内で、サーバやストレージを二重化しているため、システム障害などによるショッピングサイトの閉鎖が起こりにくくなるという。
今回、千趣会では、ベルメゾンネットを構成するサーバを中心に、各種社内業務向けサーバを含む、計135台のサーバを118個の仮想サーバに集約し、IBM MCCS上で運用する。これにより、今後3年間で20%以上のITコスト削減を見込んでいるという。また、今後千趣会では、上記以外のサーバを、各システムのライフサイクルに合わせて、2011年12月までに順次、IBM MCCSへ移行していくと共に、新規に構築するシステムも同サービスの活用を基本とすることで、コストパフォーマンスの向上を図っていく予定という。