WindowsブランドでさまざまなOSを提供しているMicrosoftの製品群に、組み込みデバイス向けのOSがあるのはよく知られている。「Microsoftの組み込みOSといえばCEでしょ」「いや、Embeddedじゃなかったっけ?」と、製品名もさまざまで混乱している人も多いことだろう。今回は、同社が提供する組み込みOSを簡単に整理してみようと思う。
主にパッケージで提供されるEmbeddedファミリー
Microsoftでは、主な組み込み製品群としてWindows Embeddedファミリーを提供しているが、このファミリーに属する製品だけでも5つ存在する。その5つとは、「Windows Embedded CE」「Windows XP Embedded」「Windows Embedded for Point of Service」「Windows Vista for Embedded Systems」「.NET Micro Framework」だ。.NET Micro Frameworkは、SDK(Software Development Kit)として同社の開発者向けサイト「MSDN」よりダウンロード可能で、その他の4製品はすべてパッケージ製品として提供される。
まず、Microsoftの組み込みOSの代名詞ともなっているのがWindows Embedded CEだ。これは、業務専用端末やVoIP電話機器、セットトップボックスなど、リアルタイム性が要求される小型デバイス用のOSで、ネットワークやセキュリティ、マルチメディア系の機能がすべてコンポーネント化されている。
一方、同じ製品ファミリーに属するWindows XP Embeddedだが、こちらはCEがベースのOSではない。XP Embeddedは、文字通りWindows XP Professionalがベースとなっており、3000以上のコンポーネントの中から必要な機能を組み合わせることが可能だ。そして、このWindows XP Embeddedを、キャッシュレジスタやレシートプリンタ、スキャナなどのPOS(Point of Service)システム用に特化したOSが、Windows Embedded for Point of Serviceだ。
また、組み込み機器とはいえ、PC風のキオスク端末など、デスクトップPCと同等の機能が必要な場合には、Windows VistaをベースとしたWindows Vista for Embedded Systemsが用意されている。Windows XP Embeddedとの違いは、XP Embeddedがコンポーネント化されカスタマイズ可能なOSである一方、Vista for Embedded SystemsはデスクトップOSそのもので、ライセンスが組み込みOS用に制限されているのみという点だ。
現在XP ProfessionalベースとなっているXP Embeddedは、2009年にはWindows Vistaベースの製品へ移行するというロードマップになっている。XP EmbeddedとVista for Embedded Systemsは、XP EmbeddedがVistaベースとなった後も、別々の製品として提供される予定だ。
フルデスクトップOSと同等の機能を持つVista for Embedded Systemsがある一方で、小型デバイス用のEmbedded CEでさえスペックが大きすぎて入らない小型センサーや腕時計、リモートコントロールなどに向けたOSとしては、.NET Micro Frameworkが用意されている。