国内電波法の改正を受けて、950MHz帯近辺を利用するUHF帯RFIDの商用化に向けた動きが一段と熱を帯びてきた。UHF帯は、近年利用が進む13.56MHz帯や2.45GHz帯の間に位置する周波数帯であり、通信範囲は数mから数十mと比較的広い。
柔軟なネットワーク設計が可能となることから、幅広い用途が期待されている。ただし、普及に向けてはなお多くの課題を乗り越えることが前提だ。東京都内にて9月13日から3日間の間に開催された「第8回自動認識総合展 AUTO-ID EXPO 2006」の講演では、現在までの市場動向を振り返るとともに、技術、価格、標準化などをめぐって、様々な立場から意見が述べられた。
RFID普及の鍵となる国際標準化
RFID普及における課題としてあげられるのが、国際標準化である。国際物流の効率化やグローバル規模でのビジネスプロセスの透明化など、グローバルな規模での利用が想定されるRFIDにおいては、各国の足並みを揃えることが必須になる。ただ、ISO(国際標準化機構)への準拠においては国同士の思惑も絡む。
AI総研 代表取締役社長の吉岡稔弘氏「UHF帯と一口にいっても、欧州は865〜868MHz、欧米は908.5〜914MHz帯、日本は950〜956MHz帯。それぞれの帯域を道幅にたとえると、欧州は3m幅、欧米は26m幅、日本は2m幅となる。道幅の狭い日本は輻輳を避けるため、高出力型UHF帯では送信時間4秒に対し停止時間0.05秒を設けて入れ替える共用化技術(混信防止技術)などの規格化に力を入れてきた」と、AI総研 代表取締役社長の吉岡稔弘氏は述べる。
一方日本では、免許不要、登録のみで利用できる低出力型UHF帯も利用可能になった。それぞれの通信距離や指向性、コストなど、仕様や特性は異なるため、それぞれの長所・短所を理解したうえで、用途に応じた使い分けが必要になる。
電波の共用・干渉に関する調整が必要
RFIDに割り当てられる電波は、各国の動向を踏まえた国際標準規格制定の手続きを通じて年々解禁される方向にあり、利用可能な周波数帯は増加傾向にある。このことは、アプリケーションの多様化に道が開かれる点では評価できる。ただ、各国における固有の事情もあるため、きめ細かな調整が欠かせない。
総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 課長補佐の中村裕治氏総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 課長補佐の中村裕治氏は、同省がU-Japan政策を推進する一方で、「電波の適正利用や管理に向けた制度化に取り組んできた」と話す。
例えば、433MHz帯アクティブタグシステムだ。2004年8月に国際標準規格(ISO/IEC18000-7)が制定されたのち、国際物流分野やSCM分野において多くの諸外国で導入が始まった。「国内でも、港湾物流におけるコンテナ輸送の安全性確保、作業の迅速化、コンテナの内容の事前提供などに向けた導入機運が高まっている」と中村氏。船舶から陸揚げした貨物をトラックなどの陸上輸送に振り替える際、クレーンに取り付けられたリーダ・ライタを介してコンテナ積載貨物の管理をするといった利用法において有力なツールとなる。
ただ、国内では430MHz帯はアマチュア無線業務にすでに割り当てられており、共用・干渉などが懸念されている。中村氏は、アマチュア無線局は2005年頃から減少傾向にあるが、2006年4月現在でも50万局あり、世界でも群を抜いている点を指摘、「モデルケースに基づいてシミュレーションを行った結果、特に433MHzのリーダ・ライタを高所において固定的に設置し、見通しが確保される場合、アマチュア無線局に影響を及ぼす可能性がある」と話す。
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