実用化が見えてきたRFIDの現状と課題

藤本京子(編集部) 2006年09月19日 08時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 物流におけるサプライチェーンマネジメント(SCM)や、商品管理、履歴管理などでの活用が期待されているRFID。ここ数年でRFID実用化に向けた電波法の改正が進んでいるほか、実証実験も頻繁に行われている。各ベンダーもこの分野に向けた取り組みが活発になりつつあるが、実運用に向けてはまだ課題が残っている状況だ。9月13日より東京都内にて開催された「第8回自動認識総合展 AUTO-ID EXPO 2006」にて、RFIDの現状と課題について日本自動認識システム協会(JAISA)RFID専門委員会委員長の坂下仁氏が詳細を語った。

 RFIDで利用される電波の周波数には数種類ある。古くは1950年に認可された自ら電源を持たないパッシブタグ用の135kHz帯があるが、2002年にはパッシブタグ用として新たに13.56MHz帯が認可された。また、950MHz帯においては、2005年に高出力型システム導入における認可が、また2006年には高出力型システムへの電波の有効利用に役立つ共用化技術の導入と、低出力型システムの導入における認可が降りた。自ら電源を持つことで電波を受発信するアクティブタグ用の433MHz帯については、現在審議中で年内には認可されるのではないかと見られている。

坂下仁氏 日本自動認識システム協会RFID専門委員会委員長の坂下仁氏

 このように、電波法の改正がさかんになってきたのは「ここ数年のことだ」と、坂下氏は話す。それは、「タグの小型化が進み、普通のラベルのように使えるようになってきたためだ」と同氏。こうした動きからも、RFIDが実際に運用できるめどが立ってきたといえる。

最大の課題はタグのコスト

 しかし、実用化に向けてはさまざまな課題がある。その課題のひとつがタグのコストだ。現在、タグのコストはパッシブタグで数十円から100円程度。耐熱性のあるものなど、素材によってはそれ以上となる。もちろん、アクティブタグはパッシブタグよりさらに高コストとなる。しかし、「エンドユーザーがタグに支払っていいと感じている価格は1円から5円程度」と坂下氏は指摘する。つまり、現状ではユーザーの希望する価格と実価格に大きな開きがあるのだ。

 ハードディスクなどのように、開発や大量生産が進むにつれて安価になる製品もあるが、「こうした製品の価格が下がった理由のひとつには、部品の数が少なくなったこともある」と坂下氏。しかし、RFIDタグの基本的な構成はすでにシンプルで、構造的に大きく変化することは考えにくい。構造によるコストダウンが望めないとなれば、より安価に製造するにはいかに大量生産できるかという点にかかってくる。

 ただ、タグの低価格化に向けた取り組みが進んでいることも事実だ。タグの価格を単価5円まで下げることを目標に、2004年経済産業省が立ち上げた「響プロジェクト」もそのひとつ。日立製作所を中核企業とし、大日本印刷、凸版印刷、NEC、富士通が協力会社としてプロジェクトを遂行、2006年7月に実証実験が終了した。現在は製造体制を準備中だ。

 こうして価格低下に向けた取り組みも進んではいるが、印刷するだけのバーコードと比べるとRFIDはどうしても高価になってしまう。坂下氏は、「将来的にRFIDは、バーコードを置き換えるものではなく、適材適所で選定して共存していくものになるだろう」と述べた。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
モバイル

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化