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実用化が見えてきたRFIDの現状と課題 - (page 2)

藤本京子(編集部)

2006-09-19 08:00

周波数帯ごとの特性を見極める

 坂下氏は、無線技術の観点からもいくつか課題を提言している。そのひとつは、電波の周波数帯ごとに特性が違うということだ。

 RFIDの周波数帯として古くから使われている135kHz帯は、水や金属の影響を受けにくいため、ファクトリーオートメーションなどに適しているが、通信距離は数十cmと短いことや、ラベル化することが困難だという欠点がある。

 13.56MHz帯は、タグが薄くて小さく、アンテナの設計のしやすさや他のシステムとの干渉の少なさなど、特性のバランスがとれている。そのため商品への添付には適しているが、こちらも通信距離は数十cmと短いのが難点だ。

 2.45GHz帯も、小型で薄いことから商品への添付には適している。ただし、この帯域は無線LANやBluetoothなどでも利用されており、設置方法によっては干渉を受けることもあることを留意しておかなくてはならない。

 そして、現在最も注目されているのがUHF帯だ。通信距離が長いため物流用途には適しているものの、タグのサイズが大きいため、商品に添付するには工夫が必要だ。また、日本でUHF帯の活用が進んだ場合、各社のRFID機器が近接配置されるケースが増え、機器間やタグ間での干渉が発生する可能性がある。そのため、「用途を限定したり、リーダ、ライタ技術を向上させたり、運用ルールを考えるなどして干渉を防止しなくてはならない」と坂下氏は述べた。

 UHF帯においては、電波環境が世界各国で異なっていることも課題だろう。また坂下氏は、南欧の一部諸国にてUHF帯が軍事用途に利用されていることや、米国では割り当てられた帯域幅が広いのに対し、他国は狭いということにも触れ、「これが今後どうなっていくかが、国際物流におけるUHF帯のRFID実用化に向けた課題だ」としている。

日本独自のアプリケーションモデルを

 こうした技術的な課題のほかにも、坂下氏は「アプリケーションモデルを構築することが必要だ」と述べている。例えば海外のSCMモデルでは、シュリンケージや偽造薬品の対策としてRFIDによる個別商品の管理が進んでいるが、日本ではそういった犯罪がそれほど多くはないため、「個別商品管理の必然性は低い」と坂下氏。つまり、日本独自で価値のあるアプリケーションを構築する必要があるということだ。その例として同氏は、安心安全を提供するためのトレーサビリティシステムや、販売支援、マーケティングに利用できるようなRFIDの仕組みなどを挙げた。

 すでに医薬品業界や電子・電機業界、メディアコンテンツ業界など、さまざまな分野でRFIDの実証実験が行われており、ベンダー各社もRFID関連ソリューションを次々と発表している。こうした中で、日本におけるRFIDのニーズもより鮮明になっていくだろう。

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