国際競争力強化に結びつくRFIDの活用

藤本京子(編集部) 2006年09月22日 20時46分

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 「RFID普及のねらいは、日本の産業界の国際競争力を強化するためだ」--こう話すのは、経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 課長補佐の佐々木啓介氏だ。同氏のこの思いは、RFIDが普及することで業務の効率化や新サービスの誕生が期待でき、企業間取引最適化に向けたIT投資が進むということを想定してのことだ。佐々木氏の所属する経済産業省を含め、政府がRFIDの普及に向けて取り組んでいる内容が、9月13日より東京都内にて開催された「第8回自動認識総合展 AUTO-ID EXPO 2006」にて紹介された。

 佐々木氏は、経済産業省のIT投資促進税制に関するアンケート調査と、ガートナーのIT投資動向に関する海外調査をもとに「企業内でITを活用するケースは増えているが、日本ではまだそのほとんどが部門内での業務最適化にしか使われていない。部門を超えた組織全体の最適化や、取引先、顧客などの関係者も含めた企業を超えての最適化となると、ほとんどの企業が実現できていないのが現状だ」と話す。一方米国では、企業全体や企業間でのIT活用が日本とは比べものにならないほど進んでいると佐々木氏は述べ、「RFIDを企業間取引で普及させ、競争力強化に結びつけたい」とした。

佐々木啓介氏 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 課長補佐の佐々木啓介氏

 経済産業省のRFID普及に向けた具体的な政策の中でも、特に力を入れているのが国際標準化と低価格化だ。貿易国の日本においては、国境を越えてもタグが利用できることが必須なこと、そして現状のタグの価格である数十円から数百円というレベルでは、個品単位でタグを利用するには高価すぎることなどがその理由だ。

標準化への動き

 まず標準化においては、「特に商品コードと技術規格の標準化にフォーカスしている」と佐々木氏。商品コードについて同氏は、現在幅広く使われているバーコードを例に挙げ、業界ごとの個別規格があることを指摘する。例えば、食品、生活雑貨などに使われているJANコード、物流分野やビデオ予約などで使われているITF、ファクトリーオートメーション用のCODE39、宅急便ラベルや図書館などで使われているNW-7などだ。JANコードとITFは数字のみで成り立っているが、CODE39、NW-7は数字と英字が入り交じるなど、それぞれ全く互換性がない。こうした現状から佐々木氏は、「RFIDでは業界を越えて利用できる統一規格が必要だ」と主張する。

 そのため、経済産業省では「商品トレーサビリティ研究会」を設置し、RFID用の商品コード体系統一化案を策定、2003年5月にISOに提案した。その結果、2006年3月の国際会議にてこの案が採用され、国際標準規格として成立した。

 また、技術規格の標準化については、「異なるメーカー間で相互に読み取り可能となるよう、通信プロトコルは最低限の標準化が必要だ」と佐々木氏。ただ、RFIDの国際標準として有力視されているUHF帯の通信プロトコルは、EPCグローバルとISOで独自に検討されていた。これを統一することが課題となっていたが、経済産業省をはじめ世界のユーザー業界が統一化を働きかけた結果、2006年6月に企業間取引用のRFIDの統一国際標準が「ISO/IEC18000-6 typeC」として成立した。

低価格化プロジェクトの成果

 低価格化に向けたプロジェクトとしては、2004年8月から2006年7月という開発期間で進められた「響プロジェクト」がある。同プロジェクトは、数十円〜数百円のタグの価格を5円まで下げ、国際標準準拠のRFIDタグの安定供給体制を構築することを目標とした。

 日立製作所を中核企業とし、NEC、大日本印刷、凸版印刷、富士通を協力企業として技術開発コアチームを結成した同プロジェクトでは、低コストでのアンテナ製造技術や実装技術、国際標準UHF帯RFIDの小型化などについて研究を進めた。2006年末までには1個5円のタグが量産できるよう、設備稼働の準備が進んでいる。

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