Microsoftが11月19日まで開催した「Professional Developers Conference(PDC)」で明らかになったように、「Silverlight」には多数の特徴や機能が加わる計画だ。
これにより、「Windows Presentation Foundation(WPF)」を使ってWindowsアプリケーションを構築すべきか、Silverlightアプリケーションを構築すべきか決めかねていた開発者は、やっと出口が見えたことだろう。MicrosoftはWPFの機能をSilverlightに、Silverlightの機能をWPFに加えていく計画を明らかにした。だが、ITジャーナリスト/ブロガーのTim Anderson氏が指摘しているように、この戦略には欠点もある。COMサポートなどの機能をSilverlightに加えることで、Windows、Mac、それに--NovellのMono開発チームの「Moonlight」経由で--Linuxに等しく対応するクロスプラットフォームのブラウザプラグインというSilverlightの魅力が損なわれるのではないかという点だ。
(この辺りのリスクについては、The RegisterのGavin Clarke氏とのポッドキャスト「Microbite」でも触れている。)
Microsoftが2010年半ばに出荷を予定している「Silverlight 4」で計画しているCOMオブジェクトのサポートは、Windows上の「Firefox」「Internet Explorer」のみに適用できる。Mac OS XとLinuxは、COMをサポートしていない。
Microsoftの代表者は、COMコンポーネントへのアクセスを追加することは顧客の要求を受けてのことであって、Microsoftが単独で決定したのではないと説明している。Silverlightを各プラットフォーム上で同じものに維持する計画についてMicrosoftに聞いたところ、以下のような回答をもらった。
Silverlight 4では、8000以上の顧客の機能要求に応えます。COMコンポーネントへのアクセスはその1つで、「Microsoft Office」の自動化などのエンタープライズ共通のシナリオを可能にし、開発者はスキャナやセキュリティカード読み取り機などのハードウェア機能に容易にアクセスできるようになります。
注意すべきは次の部分だ--Microsoftは、同じようなCOMコンポーネントへのアクセスをMac版のSilverlightにどのように加えるかを評価しているという。上の回答をくれたMicrosoftの代表者は、以下のように記している。
残念ながら、MacはCOMインターフェースをサポートしていません。Microsoftは、COMのような機能をMacに加える方法を積極的に評価しているところです。
Mac版のSilverlightのCOMサポートについて、これ以上の情報は得られなかった。
一方、Novellの開発者プラットフォーム担当バイスプレジデント、Miguel de Icaza氏はMoonlightで今後、Silverlight 4の新機能をサポートしようと意欲を見せている。PDCの後、de Icaza氏はブログで以下のように報告している。
Moonlight開発チームには、Silverlight 3と4の機能を取り込むための作業がたくさんある。Monoチーム全体を代表して、これはエキサイティング、魅力的、やりがいのあることだ、と言ってもよいと思う。エネルギー飲料を飲んだ気分だ。
Microsoftが明らかにしたSilverlight 4の方向性について、de Icaza氏は、これはSilverlightがMicrosoftの.NETの中核であるCommon Language Runtime(CLR)向けのユニバーサルランタイムへと進化することを意味する、と見ている。Silverlightデスクトップスイートを開発することは、もはや遠い夢ではなく、現実に可能なプロジェクトになる、とde Icaza氏は続けている。
開発者の中には、Silverlight OSの可能性を議論する人もいるようだ(わたしにはどうも、Windowsチームがこのような取り組みを頓挫させるような気がするのだが)。だが、Microsoftにはこれよりも切羽詰った重要な懸念がある--Silverlightを当初の「どこでも利用できる」というメッセージ通りに提供するのであれば、Microsoftはプラットフォームを問わずに同じ機能を提供する必要があるという点だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ