セキュリティ業界では、アンチウィルス業界の崩壊を予想する人も少なくない。しかしこの終局はなかなか完全には終わらないだろう。
一般的な議論はこうだ。アンチウィルスソフトウェアは、急速に進化しつつある脅威についていくことはできず、時代遅れになっており、劣勢になっている。Websenseの最高経営責任者(CEO)Gene Hodges氏は最近の会話で、「最新の攻撃ソフトウェアは非常にうまく作られており、ウィルスよりも目につきにくいため、サンプルからウィルス署名を作る方法はうまくいかない」と述べている。
彼のアドバイスは、アンチウィルスソフトウェアに対する投資は節約して、その予算を他のところに投資すべきだというものだ。
この議論に関する最新のエントリーでは、ベンチャーキャピタルがアンチボットソフトウェア企業に流れているという事実が指摘されている。Ryan Naraineはもし金銭の流れを追っていけば、アンチウィルス業界が問題を抱えていることがわかるだろうと論じている。
Ryanはアンチボットソフトウェアを扱う新興企業への投資は、「アンチウィルス業界に対する批判だ」と書いており、Yankee GroupのアナリストAndrew Jaquith氏がRyanの主張を裏付けている。アンチスパイウェア企業が伸びてきたのと同じように、アンチボット企業も伸びるだろう。
しかし、この議論が破綻する、あるいは少なくとも微妙なものになる論点がある。従来のアンチウィルス企業は、セキュリティスイートを作る利点をはじめて活用した企業だということだ。アンチウィルスソフトウェアは完璧ではないが、まだ必要とされている。重要な問題は、顧客がウィルス対策にお金を払うかということだ。これに対する端的な答えはノーだ。しかし、Symantecのようなセキュリティ大手企業にとっては、この論点は問題にならない。SymantecやMcAfeeにとっては、セキュリティスイートを売ればいいのであって、そのコンポーネントは重要ではないのだ。
結論はこうだ。Damballa、FireEye、Sana Security、NovaShieldのようなアンチボット企業は成長するが、その後すぐに従来のアンチウィルス大手企業に買収されるだろう。そしてアンチウィルスソフトウェアは衰退するかも知れないが、それに伴っていた伝統的なセキュリティスイート販売モデルとライセンス収入は今後も健在であり続けるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ