研究者Katherine McKinley氏の最近の研究成果によれば、Adobe Flashのようなサードパーティのプラグインは、ブラウザのセッションの痕跡を消すことについてはあまり良い仕事をしておらず、プライベートブラウジング機能をやや無意味なものにしてしまっている。
iSec Partnersの研究者であるMcKinley氏は、ブラウザのプライベートモードでのセッション後にプライベートなデータを消す機能についてテストするツールを作成し、一部のブラウザはブラウザのセッションの痕跡をしっかり消していないことを明らかにした。その目立った例には、AppleのWindows用Safariが挙げられる。
(参照:Microsoft confirms ‘InPrivate’ IE 8)
McKinley氏は次のように警告している(PDFファイル)。
Adobe Flashなどのサードパーティのプラグインは、個々のどのブラウザやプラットフォームよりも普及しているが、あらゆる一般的なブラウザが提供しているデータ保護機能を弱めてしまっているようだ。ブラウザは永続ローカルストレージなどのプライバシに関する機能を多く導入しており、この種類の情報の管理を統合してほぼ一か所で行うようにしている。ユーザーは通常の方法で蓄積される情報とプライバシ情報を分けて管理したいと思っており、可能であれば一か所でそのデータを消去したり、別のブラウザを使ったり、プライベートブラウジングモードを使いたいと考えている。
プラグインは、ユーザーのプライバシを守るために余分の手順を必要とする。この分野のベストプラクティスは、GoogleのGearsでなどが行っているような、サイトにデータを保存するのを許す前にユーザーに問い合わせをし、ブラウザごとにデータを保存し、管理用のUIをブラウザのUIに統合するというものだ。Adobe Flashはこのような方法はひとつも取っておらず、黙ってウェブサイトがデータを保存することを許し、すべてのブラウザのデータを一か所で保存し、設定用のUIにアクセスするためにはユーザーはインターネットに接続しなくてはならない。
(参照:Major Web browsers fail password protection tests)
同氏はブラウザベンダーとプラグインベンダーに対し、自分たちのプラットフォームをより信頼できるものにするために協力し合うべきだと呼びかけた。
プラグインに特定のサイト、すべてのサイト、あるいは特定の範囲の日付のデータを消去する必要性があるなどの情報を伝えるための一連の標準APIを開発し、すべてのプラグインでそれを使わなければならないようにする必要がある。これらのAPIがない状態では、ローカルシステムのリソースを使う必要のあるプラグインは、ウェブサイトがローカルにデータを保存することを許す前にユーザーに問い合わせをすべきであり、管理用のインターフェースをブラウザの標準APIに統合すべきだ。
この調査で、McKinley氏は最新のブラウザにおけるデータの保存状況をテストした。これには、HTTPのクッキー、HTML 5のセッションストレージ、Mozilla Firefoxの永続ストレージ、HTML 5のデータベースストレージ、IEのuserData、Adobe Flash、Google Gearsが含まれている。
(参照:Firefox急遽プライベートモード追加へ:Mozillaの焦り?)
「プライベートブラウジング」オプションを持つAppleのWindows用Safariは、良い結果を残せなかった。
SafariのHTML 5のデータベースストレージは、プライベートデータをリセットした際にも消去されない。データベースを調べたり消去したりするには、ユーザーは設定のダイアログで「セキュリティ」を選択し、そのタブの「データベースを表示」ボタンをクリックする必要がある。IE 8 Beta 2では、実行されているインスタンスのデータが実際に消去するるにはブラウザを閉じる必要がある。どちらの場合も、実際のデータの消去には追加のアクションを行うことが必要となる。
さらに、次のような問題もある。
Windows用のSafariは、プライベートブラウジングに関するテストではもっとも悪い成績であり、プライベートモードに入る際にも、プライベートモードから抜ける際にも一切データを削除しない。OS X用のSafariの動作も不思議なものであり、HTML 5のデータベースストレージはプライベートモードに入る際もその後も消去されなかった。また、プライベートブラウジングセッションに入った場合にも、事前に設定されたクッキーは利用できてしまうようだが、ブラウザを立ち上げた直後にプライベートブラウジンを開始すれば、期待通りに動作するようだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ