うつで病院に行くことを恐れるな--心の健康診断(4)

谷崎恵(アファリス)

2008-07-24 08:00

 心の調子が優れないといっても、すぐに医療機関にかかろうとは思わない人が多いのではないでしょうか。うつが「心の風邪」と言われるほどメジャーな病気になったとはいえ、いざ自分の身に起こると、最初はなかなか認めたくないでしょうし、ましてや「医療機関にかかる」となると相当の勇気がいると思います。

 しかし、厚生労働省によると「国民約60人に1人が、現在精神疾患で治療を受けている」とのデータもあり、精神科の受診が決して特別でないことがわかります。また、うつ病の場合は、基本的に通院治療となることがほとんどです。重症の場合や自殺願望が強い場合など、状況に応じて入院を勧められることもありますが、たいていの場合は仕事をしながらでも受診できるのです。

 繰り返しになりますが、うつは「早期発見と早期対処」がとても重要です。1人で悩みを抱える前に、医療機関を受診してみてください。

まず病院を探してみよう

 とはいえ、どのような医療機関を受診すればよいのでしょうか? 心の病といえば、たいてい「精神科」と「心療内科」の2つが思い浮かぶと思います。「どっちを受診すればいいの?」と悩む人も多いと思うので、この2つの違いを紹介します。

 精神科の病院は、統合失調症や薬物依存症、アルコール依存症などの精神疾患を治療する施設で、入院施設を伴います。厚生労働省の調べによると、全国の病院数の1割近くが精神科病院となっています。入院施設を伴うため、重症なケースしか診てもらえないのではないかと思われがちですが、そういうわけではありません。本当に軽い心の病から入院を必要とする重いケースまで、さまざまな症状に対応してくれます。

 一方の心療内科は、身体のさまざまな症状を、肉体的な側面からだけでなく、精神的、社会的な環境をもふまえて診療するところです。つまり、なんらかの心理的、社会的なストレスが身体を通じて症状となって出ている場合が、心療内科の治療対象となります。精神科が「精神面」の治療に特化するのに対し、心療内科は社会的要因や心理的要因なども含めた総合的な治療を行います。

 どちらを受診していいのか分からない場合は、一度事前に問い合わせてみましょう。病院には、臨床心理士やソーシャルワーカー(精神保健福祉士)など、精神科医以外にも相談に乗ってくれる専門家が存在します。心の病の治療は歯の治療と違い、「1回行って、はい終わり!」とはならないので、継続して通いやすい場所にある病院を選ぶ方が良いでしょう。周囲の目が気になるからといってわざわざ他県の遠い病院を受診する人もいますが、精神科の病院や心療内科は、週1回や月1回など定期的に通うケースがほとんどのため、「通いやすさ」をポイントに選ぶ方が良いと思います。

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