「ちょっとお茶しない?」が事業化へ--「あったらいいな」を実現する企業:リクルートエージェント

遠竹智寿子

2009-07-07 08:00

 第9回目の「あったらいいな」は、リクルートエージェントの寺小屋的活動拠点「ちゑや」についてです。リクルート関連会社の人材サービスの専門企業として知られているリクルートエージェントは、Great Place of Work Institute Japan実施の「日本の働きがいのある企業」にて、2009年版で第2位に選ばれています。

いろいろな社員と顔見知りになれる度 ★★★★★
元気ハツラツ度 ★★★★☆
社内コミュニケーションの潤滑度 ★★★★☆
会社が楽しくなりそう度 ★★★☆☆
社内マンパワーの有効活用度 ★★★★☆
リクルートエージェントの「あったらいいな」度

 今回取り上げる「ちゑや」は、社員同士が部署や肩書きを越えて活発にコミュニケーションができる非公式の場でありながら、会社の組織として存在するユニークな活動です。自主運営時代からの経緯と現在の「ちゑや」の活動内容について、同社事業戦略支援ユニットグループマネージャーの中村繁さんと、同ユニットの中嶋由美さんにお話をお伺いしました。

有志の集まりが、事業戦略支援ユニットの一部門へ

 事業の発展と共に組織が拡大し、従業員数が増えることは会社としては喜ばしいことですが、一方で組織が大きくなればなるほどお互いの顔を知らない、あるいは、知っていたとしても業務に関わる人以外とコミュニケーションを図る機会は減少して行きます。現在、従業員数1800名を有する転職エージェントの同社でも、同様の悩みを抱えていました。

 2006年当時、営業企画担当者であった中村さんが、「コミュニケーションが取りにくい」という居心地の悪さを感じ、もっとざっくばらんに他の部署に人たちとも話のできる場を持ちたいと始めたのが「ちゑや」の活動でした。

リクルートエージェントリクルートエージェント

 「毎年数百人レベルで社員が増え続けた結果、知らない人同士がお互いに廊下ですれ違っても、挨拶さえままならないという状況になり、私自身何となく居心地の悪さを感じていました。もとから社内にいた自分がそうなら、新しく入って来た人はもっとコミュニケーションが取りにくいと感じているのではないかとも考えました。何か相談や悩み事があっても、誰に聞いて良いかも分からないといった状態では、お互いに培ってきた知識や経験の共有ができず、会社にとってもデメリットとなる。まずは自分の周りから、お互いを知らないなら知り合う場を作ればいいのではないかと考え、個人創業として『ちゑや』を創めたのが2006年の4月でした」と、中村さんは当時を振り返ります。

 「お昼を一緒に食べよう」「お茶をしよう」といろいろな部署の人たちに声を掛け、1時間程度食事をしながら、ざっくばらんに話せる場を作ることからの始まりでした。当初は有志の集まりであった「ちゑや」の活動は、人材育成の場として、また、社内ナレッジの観点からも経営側に認められるようになり、2008年4月には事業戦略支援ユニットの一部門として組織化されました。

 「ちゑや」の名称については、「活動を始めた当初、非公式の場であることのこだわりとして屋号っぽい名前にしたかったので、広告制作のディレクターをやっている知人に相談しながら、人の集まる場所、知恵の集まる場所を想定し、ゴロも良かったので『ちゑや』に決めました」と中村さんは説明しています。この創業当事からの風通しの良さやなじみやすさを大切にしたいという思いから、屋号「ちゑや」をそのままユニット名にして、部署が新設されたということです。現在、従業員同士をつないでいく組織として位置づけられた「ちゑや」部門の中村さん、中嶋さんのお2人には、「店主兼つなぎビルダー」、「女将」という肩書きが、組織図にも名刺にも大真面目に記されています。

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